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平成25年度第2回文化財保護審議委員会会議録

ページID:0023533 更新日:2013年8月9日更新 印刷ページ表示

開催日時

平成25年8月9日(金曜日)
午後3時から午後6時まで

開催場所

新座市観光プラザ2階 交流ルーム「せせらぎ」

出席委員

根岸茂夫、小林英郷、岩崎信丈、佐藤善信、蔵持重裕

事務局職員

教育総務部長 小山 忠彦
生涯学習スポーツ課長 池田 秋義
同副課長兼生涯学習係長 谷口 龍一
同主任兼学芸員 斯波 治
同主任兼学芸員 川端 真実
同主事兼学芸員 川畑 隼人

会議内容

  1. 開会
  2. 挨拶
  3. 議題
    (1) 市指定有形文化財建造物普光明寺山門修復工事について(現地視察)
    (2) 平成25年度文化財保護審議委員会視察研修について
    (3) その他
  4. 閉会

会議資料

  • 次第
  • 普光明寺山門写真…資料1
  • 視察研修候補地・妻沼聖天山歓喜院…資料2
  • 市指定文化財指定候補概要…資料3

公開・非公開の別

公開(傍聴者0人)

その他の必要事項

欠席委員:石山哲夫

審議の内容(審議経過、結論等)

1 開会

午後3時開会

2 挨拶

開会に当たり、根岸委員長から挨拶があった。

3 議題

(進行:根岸委員長)

(1)市指定有形文化財建造物普光明寺山門修復工事について(現地視察)

資料1に基づき、事務局から修理の経過を報告する。

事務局:現状変更の承認をいただいて、修復工事が着手されている。建造物の修理にあたっては、作業が進行しなければどのような状況になっているのか確認できない部分があり、途中経過を確認しながら、進めていきたいとのことだった。現在、瓦を剥がして、野地板が見やすい状態になっているので、現地視察を兼ねた今回の会議をお願いした次第である。今回の視察によって、修理の方向性が決定づけられるだろう。

今回の修理のメインは屋根と扉である。資料1に作業開始前の写真を掲載したが、瓦がずれて下地が見えてしまっているのがわかる。指定当時には見られなかったもので、東日本大震災の時にずれた可能性がある。震災時に瓦が落ちたという話も聞いている。破風の部分には新しい瓦が入っており、昭和59年に修理されていた。破風は軒にかなりの傷みがあり、漆喰がなくなっていた。

瓦を剥がしてみると、下地には木組みの上に杉皮を敷き、細い竹で留め、荒木田土が積まれており、これが創建時のものかは定かではないが、下層の屋根部分は状態が良い。ただ、過去の修理において、大部分の杉皮がトントンと呼ばれる板に替わっている。杉皮が雑に敷かれている箇所があり、これは下地を再利用した痕跡だろう。破風の上は、黒いフェルトのようなビニール製の素材が使われており、最近修理したものだろう。この箇所には木枠に銅板が巻かれていた。水落ちになっている部分にも銅板が入っており、傷みや腐りがある。

新たに見つかった過去の写真(大正期か昭和初期か)と、「郷土史にいざ」を調査していた昭和46年頃の写真を比較すると、山門頂部の瓦の積み方が変わっていることがわかる。昭和33年の地蔵堂の御開帳時に先立って、修理した可能性が高い。また、破風の曲がり具合も緩やかになっているようだ。

修理に当たっている施工者からの情報により、狭山市の天岑寺(曹洞宗)の惣門が普光明寺山門と非常に近い構造をしていることがわかった。同門は狭山市指定有形文化財になっている。

細かい箇所については、現地で視察をしながら、検討していただきたい。

委員長:今の説明に対し、質問等はあるか。

委員:瓦の下地は杉皮に戻すのか。

事務局:屋根の施工者の意見では、杉皮と荒木田土の組合せでは長持ちしない。また、漆喰を用いると後で傷みが出て、下地にも影響が出てしまうので、それが好ましい方法であるかは検討すべきだろう。現代の修理方法では、漆喰を入れない手段もある。

委員長:漆喰なしで、瓦を置くだけで留まるのか。

委員:瓦を釘留めするということか。

事務局:瓦は釘か針金で留めることになる。現在の建物の傷みの一番の要因は、屋根の傾斜が先端に来るほど緩くなることであり、本来の形ではない可能性がある。水が流れ落ちにくくなっており、修理開始後、瓦を剥がした後に降った雨も溜まっていた。

委員:昭和33年の修理時に手を加えたのか。

事務局:その点はよくわからない。昭和33年の修理歴も詳細はまだわからない。

委員:天岑寺の惣門の屋根の傾斜はどうか。

事務局:近年修理されているので、以前の状態はわからない。狭山市に問合せてみる必要がある。

委員:昭和33年の修理記録はないのか。また、寺としてはどのような修理意向を持っているのか。業者任せにするのではなく、どのように残したいのか。

委員:下地については、指定要件に関わるような問題なのか。

事務局:屋根の下地については、指定時には触れられていない。そこで、今回どうすべきかを議論していただく必要がある。

委員長:杉皮を用いず、現代工法を用いて瓦を敷く予定か。屋根自体が軽くなってしまうのではないか。

事務局:その点は現地で確認したい。屋根の構造が特殊で、重さで前に傾いてしまっている。この傾斜をどのように直すのか、どのように留めるのか、建物全体を総合的に見てもらう必要がある。

委員長:日本建築は屋根の重みで全体を支えている。

委員:災害が問題になっている現状で、傾いたまま修理とはいかないだろう。寺や檀家の意向はどうか。

事務局:漆喰を入れたくないというのが寺の意向だった。5~10年ごとにメンテナンスが必要となるためである。傾きについても、屋根の重みが原因なのかを調べる必要がある。過去の修理歴としては、昭和33年と昭和59年に実施されているが、明治期にも実施されている可能性はある。

委員長:瓦も創建時のものなのか。丸瓦が両端の2列にしかないのは、本瓦葺きを略式にした感じがする。

事務局:瓦を葺替えた際に、丸瓦を減らした可能性がある。施工者によると、瓦は明治期に市近郊で焼かれたものとの見解だった。

委員:瓦は壊れた個所だけを入れ替えるのか。全部を入れ替えるのか。

事務局:今回は総入替えを行なう。文様は指定時のものを踏襲する。同じ文様でも范が違うものがあるので、文様がしっかりしているものを指定している。

委員:関東大震災の時に各地で瓦が落ちたという話を聞くが、その時の葺替え記録はないのか。また、屋根の傾斜を変えた点もわからない。

事務局:その時の記録は残っていない。傾斜の変更については、何度かの修理の中で、手が加えられてきたのだろう。

委員:現状の瓦は廃棄処分してしまうのか。

事務局:状態の良い物は残し、寺で展示する予定となっている。

 <普光明寺にて現地視察>

  現地にて、山門の修復工事の経過と劣化状況を視察し、施工者から過去の修理の痕跡や屋根の傾斜の問題等について見解を伺う。

 <交流ルーム「せせらぎ」に戻り、審議再開>

委員長:現地視察を終えて、ご意見をいただきたい。

委員:寺の意向は特になく、施工者に任せているようだった。

委員長:創建時は瓦葺きではなく、杮葺きか檜皮葺きだった可能性がある。明治・大正・昭和と、あまり十分ではない修理をしながら形を変え、現在に至っている。現代の技術を用いてしまうが、少なくとも従来の形を保つことには同意したい。本来は創建時を優先すべきだが、屋根の傾斜が足りないために長持ちしないのであれば、変更は仕方ないだろう。

委員:かなり傷みが進んでいるというのが率直な感想だ。創建時にこだわっても仕方ない。過去の修理は宮大工によるものではないかもしれず、それもこの地域の歴史の一部として捉えることもできる。今回の修理では、より堅牢なものを目指すべきだろう。また、修理の履歴をしっかり残しておきたい。過去の修理の稚拙さも、知見として残しておきたい。

委員:今回の現状変更の申請によって、雨漏りや腐りの進行を防げたと言える。修理は止むを得ないが良いことだろう。記録をしっかり残してもらうのはもちろんだが、瓦など、廃棄予定のものも可能な限り市民に還元し、歴史民俗資料館に展示してほしい。

委員:今回の施工者は誰が決めたのか。

事務局:檀家総代が平林寺に出入りしている業者に相談し、そこからの紹介だった。瓦については、清瀬市の業者であるが、修理には三州瓦を用いるとのことだった。光沢があるが、年月が経てば馴染んでくるだろう。屋根の傾斜の矯正についてはどうか。場合によっては、ボルトを用いなくてはならないかもしれない。

委員:矯正した部分をボルトで留めると聞いたが、ボルトは錆びる上に周りも腐食する。100年耐えられるのか。他の方法があるなら、そちらを検討したい。

委員長:極力、他の方法を検討してほしい。

委員:どのくらい浮いてしまっているのか。

事務局:破風の重みで前に傾き、6cmほど浮いていた。

委員:構造自体が傾いているのか。主構造には手を加えないのか。

事務局:柱に歪みはない。屋根の後ろ側を下げて、そこをボルトで留める可能性があるということだ。

委員:古材にボルトを入れても、留める効果があるのか疑問だ。

委員:やはり、極力、他の方法を検討してほしい。

事務局:施工者も、できるだけ使いたくない方法だという見解を持っていた。

委員:過去に行なわれた軒の修理個所は、やたらと釘が打たれていて、いかにも素人が修理したように見えた。

委員:昭和33年に修理したものなのか。

事務局:委員長の御意見にあったように、創建時は杮葺きか檜皮葺きで、幕末から明治頃に瓦に変わった可能性がある。その時の瓦はすでに替えられてしまっており、現在の瓦は、昭和59年のものだろう。本堂を建て替えた時の施工者が修理したようだ。

委員:現地で確認した垂木の違いもしっかり記録しておいてほしい。瓦も文様に違いがあったので、展示したら面白いのではないか。

事務局:傷んだ材は基本的に交換するが、一部は手元に残るだろう。

委員:破風も材に刻みを入れて曲げられており、それも戻すという話だった。

事務局:天岑寺惣門の屋根のように、傾斜を確保すれば雨漏りを防げる。屋根の頂部についてはどうするか。現状は平瓦を組合せ、針金で留めて、漆喰で固められていた。昭和33年の修理時に変更されたようだ。

委員長:漆喰は寺側の意向に反するのではないか。

事務局:その点は確認する必要があるので、今後も相談させてほしい。

委員長:何度も修理が加えられており、過去の写真等を見ても、詳細な記録がなく、どれが正しいとも言えない状況である。今回は現状を踏襲することで良いのではないか。ただ、漆喰を使わないのであれば、どうやって留めるのか。

事務局:現代工法の接着剤が用いられる。

委員:鬼瓦についてはどうするのか。

事務局:現状のものを複製する。

委員長:今回の修理は、記録をしっかり残すことを条件に承認してよいか。

<委員一同承認>

 (2) 平成25年度文化財保護審議委員会視察研修について

資料2に基づき、事務局が説明する。

委員長:今年の視察研修は熊谷市にある国宝の妻沼聖天山歓喜院をメインとし、他の視察場所については事務局に一任してよいか。日程は候補日の中から委員の都合を調整し、後日決定する。

<委員一同承認>

 (3) その他

(1)市指定無形文化財・中野の獅子舞が8月24日(土曜日)と25日(日曜日)に披露される。

(2)野火止用水クリーンキャンペーンを8月24日(土曜日)に開催する。

(3)平林寺建造物群の修理について、修理委員会を開くことになった。

(4)委員からキツネノカミソリ保存会25周年記念式典が8月18日(日曜日)に開催されることが紹介される。その時期が見頃だろう。

4 閉会

根岸委員長から閉会の挨拶があった。


新座市文化財保護審議委員会