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平成24年度第2回新座市文化財保護審議委員会
平成24年8月28日(火曜日)
午後3時00分から午後5時00分まで
新座市観光プラザ2階交流ルーム「せせらぎ」
根岸茂夫、石山哲夫、岩崎信丈、蔵持重裕、小林英郷、佐藤善信
生涯学習課長池田秋義、生涯学習課副課長兼学芸員斯波治、生涯学習課主任兼学芸員川端真実、生涯学習課主事兼学芸員川畑隼人
次第
県指定史跡名勝天然記念物現状変更等許可申請書…資料1
文化財保護審議委員会過去の視察研修先一覧…資料2
市指定文化財指定候補概要…資料3
歴民だより
公開(傍聴者0人)
特になし
→資料1に基づき、事務局が説明する。
審議を一時中断し、現状変更によって史跡への影響が考えられる場所について、委員による現地視察を行う。その後、審議を再開する。
委員長
現地視察をふまえて、現状変更申請について委員の皆様の意見を伺いたい。
委員
史跡指定地内だが、すでに野火止用水がなくなっている部分だった。実質的な影響はないだろう。
委員長
今回申請のあった下水道工事について承認してよいか。
(委員一同承認)
→資料2に基づき、事務局が説明する。
委員
今年度は近隣市を視察するという事務局案が出たが、松永安左エ門(耳庵)が移築した柳瀬荘についても、視察先に加えてはどうか。
委員
柳瀬荘は市指定文化財になっているのか。
事務局
柳瀬荘は国指定の重要文化財となっており、住所としては所沢市になる。
委員
昨年度、修復が完了した法台寺の他阿真教上人像や、観智国師像についても拝見したい。
事務局
観智国師像については、議題3にも挙がっているが、指定化に向けた専門家の調書が完成した時点で伺いたいと考えている。その時に他阿真教上人像も一緒に拝見するのがよいと思う。
委員
柳瀬荘も法台寺も、両方とも見に行くということか。
事務局
周ることは可能だと思う。
委員
三芳町を視察するのであれば、「甘藷先生」と言われた青木昆陽ゆかりの地や、三冨新田を開いた柳澤吉保ゆかりの多福寺、ケヤキ並木なども訪れたい。
事務局
三芳町では歩道拡幅の際、水路跡が見つかったという。空堀川を水源とする小さなものだった。
委員
「空堀」川というと、水の量は少なそうな印象だ。
委員
空堀川の流れはあって、幅は広かった。
委員長
三芳町の三富新田は野火止新田の開発を真似しているが、野火止用水のような用水を引くことには失敗している。柳澤吉保は松平信綱のように、川越城主になってから事業着手しているが、野火止新田の方が理想的な開発だった。
委員
多福寺は平林寺とも関係があるので、連絡を取りやすいだろう。
事務局
多福寺には庭園もある。昭和期に大改修しているが、年1,2回しか公開していない。文化財保護審議委員の視察ということであれば、見学をお願いできるのではないか。
委員長
いくつかの提案があったが、今年度の視察研修は近隣市を巡るということでよいか。
(委員一同承認)
事務局
日程についてはどうか。
委員長
11月8日(木曜日)でどうか。
(委員一同承認)
→資料3に基づき、事務局が説明する。
委員長
事務局から指定化候補の提案があったが、今年度はこの中でどれの指定化を目指すのか。また、一覧にはない文化財で指定化の候補はあるか。
事務局
一覧には載せなかったが、普光明寺の山門の隣に小さな門があり、古絵図にも描かれていることから、山門よりも古い時代の可能性がある。
委員長
その門については、調査をしてみる必要がある。
委員
北野にある庚申塔に「新倉」の文字があり、貴重な資料である。
委員長
「倉」の字が使われるのは、江戸の享保年間あたりで、17世紀のものではないか。検討の余地がある。
委員
妙音沢を指定することはできないのか。
事務局
妙音沢の指定については、以前にも議論されたことがある。湧水として指定した場合、水がなくなったら指定も解除されてしまう。また、指定に当たって水源を調査する必要もあるが、明らかに新座市外に水源があり、市単独で文化財指定するのは難しい。指定には埼玉県と東京都の合意が必要だろう。妙音沢にある石造物を文化財指定した場合、その保存環境を整える必要があり、現状の自然を一部破壊することになってしまう。
委員長
埼玉県の文化財審議委員も務めているが、先日その場でも湧水について議論され、妙音沢も指定の候補として名前が挙がっていた。ただし、現在の県の考え方は、市町村で指定されたものの中から県指定を選ぶという傾向にある。市指定・県指定の方法について、事務局は県の担当者と協議してほしい。
委員
実際に水が涸れる可能性はあるのか。
事務局
かつて黒目川沿いには10数か所の湧水点があったが、現在は7か所しかない。妙音沢についても涸れる可能性は否定できない。
委員
以前、沢の上にあった石造物が、子どもの悪戯で、滝壺に投げ込まれてしまったことがあった。
事務局
滝壺供養塔のことだと思うが、石造物を取り出すために、シャガを痛めてまで移動させた団体があった。
委員
掘り出して並べた方がよいのではないか。
委員
荒沢不動尊の所でも、石造物が盗難に遭ったことがある。妙音沢は、緑地としての管理はどうなのか。
事務局
首都近郊緑地保全地区として管理・公有化が進められている。そのため、掘ると自然破壊になってしまう。一度掘ると、土を戻しても流れてしまうので、現状復帰が難しい。
委員長
素材が石であるで、石造物はすぐに掘り出さなくても、大きな影響はないかもしれない。
委員
山林が外国資本によって購入されている事例が多くあり、国も湧水の保護に向けて動いている。妙音沢についても守ってほしい。
委員長
それでは、指定化に向けた候補・調査対象として入れておきたい。
委員
中野の倶利伽羅不動についてはどうか。あそこにも湧水がある。
事務局
倶利伽羅不動については製作年がわからないため、調査が進んでいない。
委員
湧水を文化財として捉えた場合、年代特定などはできるのか。
事務局
妙音沢については伝説や信仰の対象ではあるが、歴史記録が少ない。
委員
陣屋堀については、じわじわと崩れていってしまう。風化が進むので、指定化と保護を考えておいた方がよい。川越藩・高崎藩の陣屋跡についてはどうか。
委員長
「陣屋」というと大きな屋敷を想像してしまうが、おそらく周りに畑のある民家のようなものではなかったかたと思う。
委員
今の陣屋の辺りには、70~80cmの自然石が散見される。台地上にこのような石があるのは不自然だろう。
事務局
建物の礎石にしては大きすぎるので、庭石ではないだろうか。陣屋堀については発掘調査によって決壊した痕跡が見つかっており、そこに粘土が貼られていた。ただ、築造当初の版築技法ではないため、作りが弱い。
委員
市長は北口の区画整理事業を進めているが、その事業地内に普光明寺の捨て墓が入っているのではないか。
事務局
区画整理事業ではまず道路の整備が予定されているが、現時点では大きな影響はない。
委員
区画整理に伴う開発によって、将来的に保存が危うくなる可能性があるので、対策を考えておいてほしい。
委員長
様々な議論がなされたが、今年度はどの文化財を優先的に指定化するべきか。観智国師像については実現性が高いが、もう一つくらいどうか。
事務局
考古資料については、県指定の法台寺板石塔婆群があるが、市指定はない。市の所蔵品であれば指定はしやすいと思うが、候補一覧に挙がっている考古資料は、近隣市に視野を広げると稀なものとは言い難い。
委員
市指定文化財であるのだから、市内だけに限って考えてはどうか。指定により、市民の注目を集め、目に触れる機会が増えると思う。
委員長
一覧の14・15についても、今年度指定化を目指す候補としたい。
事務局
史跡公園から本多緑道に向かう野火止用水本流沿いの道路について、安全対策を図るべきだという一般質問が新座市議会で議論される予定である。過去にも議論された場所ではあるが、文化財保護審議委員会としての意見はどうか。
委員
史跡として最も良好な保存状態にあるA地区に指定された場所であるので、安全対策とはいえ手を加えてしまうのは、すぐには首肯しかねる。用水とは反対側に歩道を作れないのか。
委員
道路を時間指定の一方通行にするという手段もある。
委員長
危険は認識しているが、用水の現状を損なわない方法にしてほしい。史跡に手を加えるというのは、文化財を保護する意識が低いのではないか。