本文
平成28年1月25日(月曜日)
午後2時から午後5時10分まで
新座市観光プラザ2階 交流ルーム「せせらぎ」
根岸茂夫、岩崎信丈、小林英郷、蔵持重裕、宮瀧交二 (全6名中5名)
教育総務部長 大熊 正
同部副部長兼生涯学習スポーツ課長 渡辺 哲也
同課副課長兼生涯学習係長 谷口龍一
同課主任兼学芸員 斯波 治
同課主任兼学芸員 川端真実
同課主事兼学芸員 川畑隼人
1. 次第
2. 市指定文化財指定候補一覧
3. 野火止用水陣屋堀築堤遺構関係図面
4. 力石の調査関係資料(2種)
5. 市指定文化財指定申請書(写)
6. 力石関係参考文献
公開 (傍聴者0人)
欠席委員 佐藤善信
午後2時開会
委員長挨拶
ア 事務局から、資料「市指定文化財指定候補一覧」により、前回の委員会以降の指定化に向けた作業の進捗状況について説明する。
始めに、「野火止用水陣屋堀築堤遺構」について、所管課の道路課から昭和50年代に実測した図面を入手したことを報告するとともに(図面は会議室で各自閲覧)、今後も史料調査や、保護の措置等を検討していきたい旨を説明する。
また、「野火止用水古絵図」については、発見者の十文字学園女子大学池間教授に、指定化に向けた協力をお願いし、快諾いただいたことを報告する。
イ 意見及び質疑応答
(委員)
陣屋堀築堤について確認だが、必要な作業として測量となっている。いわゆるコンタ測量、10センチ単位程度の等高線測量の図面はあるか。
(事務局)
図面に関しては、詳細なものはない。配布資料の図面は、500分の1の平面図だが、これ以上のスケールの大きさでとっているものは現時点でない。
(委員)
一般に中世城郭の土塁や空堀は、写真測量で10センチ単位のものを作っておかないと、いずれ崩落や損傷したときのこともある。今の状態であれば築造時のものと違うだろうが、指定時の現況ということで、それなりに予算をとって、写真測量をするのが一般的だと思う。指定に当たっては、指定を考える前年度に予算を要求して、測量図なしには指定にならないと思う。
(委員長)
詳細な記録がきちんとあるのが前提になるし、現状を把握するという意味で必要だ。陣屋堀を使っていたときの写真はないか。
(事務局)
そうではないかと思われる、昭和28年頃のカラースライド写真が1~2枚ある程度だ。あとは、昭和50年代の初め頃だと思うが、流れのある状態の白黒写真が1~2枚ある程度だ。
(委員長)
それは貴重なので、ぜひ資料に付け加えていただきたい。
(委員)
それは市が持っているのか。
(事務局)
カラースライドについては、個人所有のものを資料館で複写させていただいている。白黒については、文化財保護審議委員会で現地視察したときに撮影したものが残されている。野火止用水復原対策事業のときだ。
(委員長)
今後そのようなものを集めて、指定化に向けて進んでいければと思う。
(委員)
次に野火止用水古絵図だが、現物確認はしたか。
(事務局)
その前段階で、発見者の先生に協力をお願いした。年度内に、所有者の同意が得られたらという前提になるが、早い段階で現物確認を行いたいと考えている。
(委員長)
絵図だけでなく関係資料があるのではないか。江戸時代からの資料も持っているかもしれない。もっと資料があれば、野火止用水だけではなく、その所有者家の文書として、指定化に向けてきちんと資料全体を整理した方がよいかもしれない。大量に持っているということはないと思うので、調査に時間が掛かる訳ではないと思う。そう思っていると大量に出てくるかもしれないが。
(事務局)
十文字の先生は狙いを定めてというよりは、偶然に知り合いの方から話を聞いて古絵図を発見したと伺っている。今後、所有者と上手く連携を図りながら良い方向に持っていければと思う。
(委員長)
古絵図についても、調査を進めて指定化の方向でよろしいか。
(委員一同)
了承
ウ 次に、事務局から「力石」について、関係資料に基づき説明する。
エ 意見及び質疑応答
(委員長)
現地視察で現物を確認したい。その前に確認しておくことはあるか。
(委員)
単純な誤りだと思うが、指定申請書2ページの磐戸石の切付文字について、名前の順番が拓本を見ると逆ではないか。
(事務局)
御指摘のとおりなので訂正する。
(委員長)
石の材質は自然石でなく確定できないか。このようなものをどこから持ってきたのかということも大きな問題だ。専門家が見ればすぐ分かるようだが。
(委員)
中学の理科の先生で地質学を専門にやっている方に石材を調べてもらえば分かるのではないか。これだけ大きい石はこの辺りの荒川などの河原から持ってきた石ではないだろう。
(事務局)
少なくとも秩父ぐらいまで行かないとない大きさだ。
(委員長)
このような文化がどこから来たかも重要だ。
(委員)
六十貫の力石に五月と刻まれているが、5月は祭礼と関わりがあるか。
(事務局)
これについても調べてみたが、神社の行事はない。4月に春の例大祭があり、神楽奉納が行われている。神主さんにお尋ねしても、5月の祭礼は記憶がないということだ。
(委員)
刻まれている5月というのは、今の4月ではないか。
(事務局)
磐戸石と書かれているので、神楽に関係があるのではないかと思った。
(委員長)
重さは量れないか。
(事務局)
今、これを量れるだけの量りが手元にない。
(委員長)
磐戸石と六十貫はどちらが重いか。磐戸石の方が平べったい。
(事務局)
1点は木の根っこにへばり付いているため、動かすこともできなかった。裏面も確認できなかった。
(委員)
磐戸石は力石だけではなかったのではないか。重さは書いていない。
(事務局)
その可能性はある。
(委員)
人名ははっきり書いてあるのだから詳細が分かるのではないか。
(事務局)
追跡調査をしたい。書かれているうち2軒は家の場所が分かっているが、1軒はもう新座にいない。もう1軒の方には神主さんが口利きをしてくれることになっている。
(委員)
細かいことだが、指定申請書と調査カードの釈文の書き方は、現物と同じで縦書きにしてもらいたい。これがひとり歩きしたときに誤解を生むので書き直していただきたい。
(事務局)
修正する。
一時休会
野火止氷川神社の力石、嵯峨山遺跡第16地点、平林寺境内林天然記念物再生事業現地視察を行い(次第4を審議の都合上、繰り上げて実施)、視察後、帰庁する。
審議再開
(委員長)
力石について、現地視察を行って気が付いたところはいかがか。
(委員)
力石が今ある場所と、元々の原因地は違うと思う。指定したら三つともどこか境内のしかる場所に並べて、持ち出せないよう周りに柵を作るとか、見られないように中にしまったらつまらないので、柵を持ち上げなければ取り出せないようなものを作るべきだ。他の市町村で力石を指定している例が調べればいくらでもあると思うので、現地から持っていかれないように、かつ皆さんに見ていただけるように、何か方策を考えて置き場所を決めるべきだ。そこも予算措置が必要になると思う。調べれば良い例があるはずだ。今のままではまずいと思う。
(事務局)
下に砂利等を入れて置かれている場合が多く、あとは立てているところもある。立てているところについては、きちんと枠を囲って立てている。重さがあるので持ち出し可能かどうかはともかくとして、いたずらされない工夫が必要だと思う。他でやっているところはない。もう一つ考えなければならないのは、同じ条件で置かれているものは長い年月の間に風化する危険性が当然あるので、風化を避けるためにどうやったらよいかを考えなければいけないと思う。今のところいわゆる小屋掛けで置かれているところは現物を実際に見たことがない。写真の中では1~2例見たことがある。
(委員)
小屋を作るほどではないが、何十センチまで持ち上げられないような囲いを周りに回せばよい。あのままだと、さらしを掛けて引きずって動かせてしまう。
(事務局)
段ボール1枚で動かせてしまう。
(委員)
盗む側からしたら重機で簡単に動かせてしまう。
(委員)
完全に囲っているものを見たことがあるが、それはつまらない。盗難と事故を防ぐ程度で、文化財としての注意を喚起する表示か何かを模索する必要がある。
それと、もう少し力石に関する伝承やお話はないか。
(事務局)
この三つの力石に関してはない。たまたま調査を行ったのが、昨年の12月25日で、神社の掃除をする日だったため役員がお集まりになっていたので話を聞いたところ、伝承はないということだった。もう少し探ってみる必要があると思うが、現状では皆目分からない。
(委員)
力石自体はすごく立派なものだと思う。
(委員)
昔、調査を行ったとき、三つ並んで無造作に置かれていた記憶がある。
(委員)
どういう風に力比べを行っていたのか。もっと小さいものもなかったか。
(事務局)
三十五貫、四十貫というものもある。
(委員)
今でも、お供え餅で力比べのようなことをして運ぶ競技は残っている。
(事務局)
子どもの1歳の行事としてもある。
(委員)
仮に持ち上げたとしても素手で持ち上げたのかどうか。何か調べられる情報はないか。
(事務局)
確認する。
(委員)
これは大和田地区の神社にあるが、片山地区にはないか。
(事務局)
今回確認調査をした段階では、馬場(片山)氷川神社に記録では一つだが、ひょっとすると二つではないかと考えている。ただ、二つとも埋まっているため、全く見ることができない。武野神社に関しては、自然石はいっぱいあるが、力石だと断言できる要素は全くない。参道や下の弁財天の周りに、見るからに力石のような形をしているが、いわゆる敷石として使われているように見受けられた。これも聞き取りをしてみないと分からない。大和田地区だと神明神社に市史では四つ、『埼玉の力石』では八つと書かれている。四つなのか八つなのか分からないが、これも銘文が入っているという記録になっているがそこまで確認できていない。大和田氷川神社には全くない。それから北野の稲荷神社にもそれらしいものはない。そういう意味で非常に限られている。菅沢の若宮八幡神社には二つある。一つは「高橋車(ぐるま)」と書かれている。おそらく高橋水車のことだと思う。順次調べていきたい。
(委員)
指定されたあかつきには、力石がどのように使われたかを説明板など付けなければならない。
(委員)
力石の語源は何なのか。
(事務局)
力石がどのようなものか、定まった定義的なものはない。自然の石に書かれている、書かれていないものもあるようだが、どこまでを力石と呼ぶのかという問題がある。
(委員)
広辞苑には載っていないか。
(委員長)
調べれば一般的な説明は出てくるだろう。『埼玉の力石』には歴史が書かれている。
(委員)
その土地でどのように使われたかが重要だ。
(委員)
奉納している訳だから、奉納する意義はあるということだろう。
(事務局)
磐戸石はどのような意味合いで名付けられたのか。
(委員長)
天岩戸の神話から来ていると思う。
(事務局)
いずれにしても、今後、調査した上で指定に向けて進めていくということでよろしいか。
(委員一同)
承認
(委員長)
課題もあるが指定に向けて進めていくということで、調書をどのような形で作るかという問題もあるかと思うが、今後、今出された意見を参考にした上で進めていきたい。
(委員)
これに関連して、神社に奉納された扁額などがいろいろある。例えば片山氷川神社にもあるが、積んでしまっていてどんどん風化するだけだ。扁額もちゃんと手立てをしておかないといけない。記録はとってあるのか。
(事務局)
扁額については、市史の中ではない。
(委員長)
絵があったり、俳句があったり、特に俳句は地域の文人達や地域を超えた仲間の動きが分かる。地域の文化を示す、江戸から明治にかけての非常に重要なものだ。
(委員)
武野神社を北向きの神社ということで、もう少し調査して、指定というか対象にならないか。
(委員長)
今まで向きというよりは建造物としての指定が多かったと思うが、こうした文化的景観とか地域の歴史の中での位置付けとかで指定を考えるという、新しい方向かもしれない。今後、御意見をいただいて調べていくということでいかがか。
(委員)
一つの問題提起をさせていただいた。
(委員長)
今、問題になったのは、築堤遺構と力石だったが、他に随時考えていくということになっている。これについて、質問や意見はあるか。
(委員一同)
特になし
(委員長)
次回以降、課題にしていく。
(委員)
見学させていただいた嵯峨山遺跡について、竪穴住居がいっぱい出たり、完全な形の縄文土器がたくさん出たりということではないが、3月の発掘調査終了までに余裕があれば、近所の方も何だろうと思っていると思うので、上手くいけば近隣の小学校の授業での見学も含めて説明会をぜひやっていただきたい。住居跡がいっぱい出たりという見所があれば分かりやすいが、いわゆる縄文土器を初めて見る子どももいると思うので、これが文化財での社会教育になる。可能な範囲でお願いしたい。(委員長)
平林寺の伐採については、いかがか。今後、萌芽更新が進むと平地林の再生が大きな問題になっていくと思う。
(事務局)
本日の現地視察では行けなかったが、平成26年度の伐採地は萌芽が進んでいる。今年度もほぼ同じ業者が継続して実施しているが、26年度伐採地も世話をしてくれているため、先日の大雪にも耐えた。次回以降に、その様子も委員の皆様に御見学いただければと思っている。
(委員)
今回の伐採で景観が大きく変わったが、例えば野鳥類の変化とか、今までなかった植生が日が入ることによって新しいものが出てきたとか、確認しておく必要がある。
(事務局)
今年度の伐採地については、具体的に確認はできていないが、オオタカの営巣地かもしれないので、慎重に検討しているところである。今回の伐採地も皆伐するのではなく、木を何本か残して、鳥の営巣地も消さないようにということでいろいろと協議している。御指摘のとおり、ただ再生を図るだけではなく、生物多様性の問題も考えていかなくてはならないと考えている。平林寺境内林の検討組織でも、いただいた御意見を検討してまいりたい。
また、一点補足だが、嵯峨山遺跡の現場説明会については、現時点で確定ではないが3月12日(土曜日)に開催する予定で考えている。広報に掲載して募集を行いたい。
(委員)
かなりの人が来るだろう。
・次回審議委員会の開催予定日を3月3日(木曜日)午後とする。
前述のとおり繰り上げて実施
午後5時10分閉会