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平成21年度第1回新座市文化財保護審議委員会
平成21年5月11日(月曜日)
午後 3時00分から
午後 5時30分まで
市役所本庁舎2階 第1委員会室
根岸茂夫、佐藤善信、小林英郷、岩崎信丈、蔵持重裕
教育総務部長 田部井利江、
教育総務部副部長兼教育総務課長 下田浩、
生涯学習課長 遠山泰久、
生涯学習課副課長兼学芸員 斯波治、
生涯学習課副課長兼社会教育主事 大熊正、
生涯学習課主事兼学芸員 川端真実、
生涯学習課主事補兼社会教育主事 古田土惠莉
公開
(傍聴者 0人)
欠席委員 石山哲夫
開会後、部長以下7名の事務局員紹介
ア 事務局から資料1により説明を行う。
イ 審議結果
了承を得る。
ア 事務局から資料2により説明を行う。
イ 意見及び質疑応答
(委員)
文化財説明板設置事業について、今年度改修工事を行う野火止用水説明板は、現在と同じようなものを作るのか、それとも何か工夫をするのか。
(事務局)
基本的に、説明板に市指定文化財野火止用水古絵図を描く形式は変わらないが、そこに修正を加える。
(委員)
最近では、他の自治体で、看板にQRコード(携帯電話のカメラでコードを読み取り、ウェブサイトにアクセスできる機能)の掲示を始めている。
見学者が市のホームページにすぐアクセスできるよう、そのような工夫を加えられれば良いと考えている。
(事務局)
早速、検討する。
(委員)
文化財とは直接関係ないかもしれないが、市が観光都市づくりを進める上で、地域の伝説などを盛り込んだ看板の設置はいかがだろうか。予算上難しいだろうが、市内の企業にスポンサーを募り、看板にスポンサー名を入れてはどうだろうか。是非検討をお願いする。
(委員)
今の子どもは戦争など昔のことを知らない。歴史民俗資料館には蚊帳などの昔の生活を体験できるものもある。子どもは年々減っているので、昔の話を伝えておく必要があるのではないか。文化財の観点からも検討してほしい。
(委員)
歴史民俗資料館の子ども体験学習は、自然との触れ合い体験はどうだろうか。野火止用水との関連が深いと思うが、柳瀬川や黒目川も含め、水とのかかわり、水生植物や魚とのかかわり合いについて、用水から離れて生活している人は特に関心が薄いと思うので、そのような教育ができると良いだろう。
(委員)
黒目川上流の東久留米市は、川を活用してさまざまな取組を行っている。新座市でそれが途切れてしまうのではなく、それをつなげていけるような取組が必要だろう。
(委員)
社会教育として、他の自治体と連携して地域全体を活性化していく上でも、これまでの話は重要だろう。
ひいては、地域の活性化が文化財の活性化にもつながる。
ウ 審議結果
了承を得る。出された意見は、事業に反映させるよう検討する。
ア 事務局から資料6により説明を行う。
日程及び内容については案であり、審議すべき案件が発生した場合には、随時会議を開催する。また、次回の日程は、本日の会議終了後に決めるということでよろしいか。
イ 審議結果
了承を得る。
(委員長)
現状変更については、審議の前に一時会議を休会し、現地視察を行うということでよろしいか。
(委員一同)
了承
一時休会
新堀二丁目地内野火止用水本流及び野火止三丁目地内平林寺堀を現地視察
事務局から配布資料3、4及び5により説明を行い、視察後、帰庁する。
審議再開
ア 審議経過
(事務局)
本件ついては、資料3のとおり、以前に現状変更申請が許可されているが、時間が経過しているため、県に照会をしたところ再度申請するように指示があったことから御審議いただくものである。
以前の計画から内容に変更がある。大きな変更点としては、交差点の上流側を暗渠にする計画だったものが、水路自体を少しずらすことで用水の流れを遮断しないような形がとられている。
これをどうとらえるかが今回の現状変更の課題になるかと思う。
(委員)
前回は、暗渠にするという計画で許可が下りているのか。今回の申請では、暗渠部分が少なくなるということか。
(事務局)
平成16年4月に申請があり、平成16年度第1回の文化財保護審議
委員会で御審議いただき、その際の委員会の意見を付けて県に進達し、同年12月に許可されている。
(委員)
そのときに埼玉県警察から、交通の問題として危険な道路であるという指導があり、それに対して現状変更許可が下りた道路の変更内容で、警察の方は問題なかったのか。そのときの事情は今も変わっていないのか。
(事務局)
車道の路線形態はほとんど変わっていない。歩道部分(遊歩道)の形態が若干変わった。変わったことによって、前回暗渠だったものが水路をずらすということになった。本来であれば、道路の反対側に歩道整備をすべきという考え方もあるが、ちょうど交差点のところに旧コンビニエンスストア(現歯医者)の建物が道路際まで建っているため、歩道の幅員を確保できないという現状がある。
担当課が、歩道部分の用地買収交渉を行ったが、上手くいかなかったため、やむを得ず水路側に工事を行うことになったのが、当時のいきさつである。
今回も用地交渉は行ったそうだが、やはり上手くいきそうもなく、前回の方法を踏襲してきたとのことである。
(委員)
ここ以外に、交通の面で問題になりそうな箇所は外にもあるのか。
(事務局)
前回の平成16年の現状変更の際に、2か所の申請を行っている。1か所目はこの新堀二丁目地内、もう1か所は本流と平林寺堀の分岐点から少し上流の馬喰橋通り交差点で、水路の一部を埋めて道路改良を行う工事である。
この件についても、許可が下りている。これに関しては予算化されていないが、近い将来、工事を行うものと思われる。
(委員)
工事の優先順位は、馬喰橋通り交差点が先ではなかったか。
(事務局)
ここにきて順位が逆転した。道路に関して、野火止用水の現状変更を伴うこれほど大規模な改良工事は今後外にないだろう。都県境の小金井通りとの交差点も既に工事が終わっている。西武線の踏切のところも大分前に工事が終わっている。あとは、都市計画道路が用水を横断する予定のところが数本あるが、具体化していないため、先になるだろう。
(委員)
工事場所は野火止用水保存区間の何地区に当たるのか。
(事務局)
B1地区になる。(資料3及び4参考により説明を行う。)
(委員長)
C地区に挟まれた、やや原型が残っているところに該当する訳だが、公共上、特に交通安全のために、歩行者の安全を守るためにこのような現状変更を行うとのことだが、いかがだろうか。安全のためとなると反対しにくくなると思うが…。B地区はやや損なわれているが、まだ史跡の原型が残っているので、どうにかして残していきたいところではある。
(事務局)
この保存区間が果たして正しいと言えるのかどうかということもある。例えば、新堀三丁目の都県境に近いところは、もっと保存状態がいい。ただ、住宅があまりにも用水に接近しているという点では、B2地区というのが妥当と言える。
ここでの論議とは外れてしまうかもしれないが、その辺りも考慮に入れて御検討いただければと思う。
(委員)
県警からの指導は、データに基づいているのか、単なる口頭によるものなのか。交通量調査などを提示してのものなのか。
(事務局)
道路線形が基本になっている。交差点のラインがきれいになっていないところは危険区域と呼ばれている。水道道路沿いに何箇所かあるうちの一つとなっている。道路の線形を、車がスムーズに流れるようにしなさい、との指導である。
何かの根拠に基づいてとなると、交通量調査を行ったからという訳ではない。
(委員)
例えば、交通事故が多発したからとか、そういう問題がなければ、できれば現状変更をしない方が良いのではないか。
そうしないと、どんどん形が変わってしまって、史跡の原型とは何か?ということになる。
(委員長)
もう一つ、多少水路をずらすということについても、御審議いただければと思う。
(委員)
野火止用水の原型とは一体何かということになる。
(委員)
仕方ないのではないかと思う。菅沢堀も昔から形が変わっている。
(委員)
少なくとも、このような意見を記録に留めておくこと、また、現状変更前の様子が記録されることが必要だろう。
(委員)
用水とその景観が変わるのも歴史だと思う。原型、現状と言っても、一体いつの原型であり、現状なのかということもある。いわゆる文化財として、せっかく保存区間も決められているのだから、今後、文化財保存の戦略を練る必要があるだろう。
今回、B地区を現状変更するということは残念である。公共性の高い道路の工事と考えると致し方ないが、しかし、この理屈を押していくと、用水の破壊に歯止めがかからないということもあり得るので難しい。
(事務局)
史跡の原型に対してのとらえ方は、指定された当時が第一、その後現状が変わったものについては最終形態を原型ととらえるのが一般的だ。
この場所については、野火止用水清流対策事業で現在の形となったので、これが最終的な原型となっている。
(委員)
水路の擬木自身も一つのある時点での所産ではないか。あれを動かしてしまうのはもったないない気がする。
(事務局)
連作丸太擬木については、上は少し削らざるを得ないが、そのまま残すとのことである。その方が撤去するよりも安価でできるそうである。ただ、外側の丸太については、ずれる部分は抜かざるを得ない。
イ 結論
ふさわしい現状変更とは思えないが、公共上、やむを得ない形でこれを認める。文化財保護審議委員会としては、今後もなるべく現状変更に歯止めをかける姿勢を貫いていく。後世に残すためにも、是非記録として残しておいてほしい。
ア 審議経過
(事務局)
本工事は、基本的に現状復帰が前提となっている。ただし、どうしても道路側の水路に近い部分にマンホールができてしまう。本件は、野火止用水及び平林寺の両方に影響を及ぼす工事となるため、県指定史跡及び国指定天然記念物現状変更許可申請が出ている。
(委員長)
平林寺境内林の樹木とのかかわりも当然出てくるかと思うが、現地視察の説明では、全く影響ないとのことであった。
(委員)
異議なし。現状復帰するのであれば問題ない。
イ 結論
現状変更を許可する。ただし、平林寺境内林の樹木については、細心の注意、努力を払うこと。
(事務局)
次回の会議で、視察先について御意見を頂戴できればと考えている。
(委員)
これまでの視察先一覧があると参考になる。
新しい委員もいらっしゃるので、以前に行った場所に視察するのもいいかと思う。
(委員)
これまでは、新座の文化財や野火止用水とかかわりのある場所に視察に行っている。
(委員長)
あらゆる情報を確かめながら、文化財保護の参考としていきたい。
次回審議委員会の開催予定日を8月3日(月曜日)午前中とする。