本文
平成26年8月31日(日曜日)
午前10時30分から午前11時30分まで
市役所第二庁舎 5階 会議室5
橋本正明委員長、宮城道子副委員長、楠山弘之委員、片岡秀樹委員、畑中典子委員、宮崎祐子委員、番場双葉委員、神谷稔委員、須田邦彦委員、金子和男委員、森田信洋委員、千葉重信委員、新井徳一委員 計13名
小島美里、朝妻幸平、内堀まり江、酒井美惠子、保坂フミ子、廣瀬ミサ子 計6名
健康増進部長 竹之下力
健康増進部副部長兼介護保険課長 富岡三樹男
介護保険課副課長兼管理係長 加藤宏幸
同課調査給付係長 南山智子
同課主事 田畑志苑
長寿支援課長 石田信広
同課副課長兼元気増進係長 山本聡子
同課専門員 鈴木由佳
同課安心サポート係長 高橋秀樹
次第
公述人一覧表
公開
(傍聴者7人)
なし
午前10時30分開会
本日、公聴会に御出席いただき御意見を賜ります皆さまにおかれましては、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
今年度は第6期計画の策定の年にあたりますが、今回は制度の大きな改正が背景にあるため、私たち委員も大変緊張感を持っています。前回までの2回の改正も介護保険の運営に大きな影響をもたらしましたが、3度目の大きな改正となる今回も大きな変化が予想されます。私たち委員はそれを踏まえ、計画策定に取り組んでいますが、どうぞ皆様の率直な御意見をお聞かせいただき、第6期計画に可能な限り反映していきたいと考えています。
本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。ただ今、委員長からお話がありましたとおり、今回の改正は非常に大きな変化を伴うものとなっており、委員の皆さま方におかれましてはこれから大変な御苦労をなされるのではないかと思いますが、市民にとって良い計画となることを願っています。
私は市内のNPO法人で介護保険5事業、配食サービス、高齢者住宅等の計7つの高齢者・障がい者に係る事業を運営していますが、今回は時間に限りがあるため、その中でも介護保険に関わる部分についてお話をしたいと思います。
今回の改正の中で一番大きなものは要支援者に対する訪問介護及び通所介護の介護保険サービスが市町村事業へ移行する点かと思います。社会保険である介護保険のサービスが市町村事業に移るということは受給権という権利を失うことを意味するのではないでしょうか。受給権をはく奪した上にサービスは少なくなり、しかも今後はボランティア団体にサービス提供を任せていくという方針がはっきりと示されています。私たちもボランティアから始まった団体であり、ボランティアを否定するつもりは全くございませんし、これから地域の中でボランティアの立場がどれほど重要な部分を占めることになるのかもよく存じております。だからこそ、この問題に関しては非常に注意深く見守っていかなければなりません。要支援の認定を持っている認知症患者や進行性の疾患を持った方は多くいらっしゃり、この方々のうち8割が訪問介護や通所介護を利用しています。こういった方々に対しては継続的な支援がなければ急速に状態が悪化してしまうことも考えられますし、全てをボランティアに任せるのは、スキルや経験の面から不安が残ります。しかし、このように法案が成立してしまった今、どうすればより良い形にしていけるのかを考えていかなければいけません。将来的にはボランティア団体に多くを委ねる時期がくることを見込んで、ボランティアをする人々と専門的な知識を持った人々とがきちんとつながることができるシステムが必要であると考えます。要支援者であっても急病等により次の日には要介護5になる可能性を常に持っているのが高齢者です。介護保険ではどうにもならないという声も多く、最近は改定の度に介護保険に対する市民の信頼が薄くなっているようですし、サービス提供する側としてもとても苦しい状況が続いています。今回の改正が制度に対する信頼をますます失わせるものにならないよう努力していただきたいと思います。
2点目に申し上げたいのは、一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割に引き上げる点についてです。所得があると言っても決して高額所得とは言えない方々も多くいらっしゃいますし、該当者の確認をきちんとしていただきたいと思います。また、負担が増えることを恐れて、介護保険の利用を控えるようなことが起こらないようきちんと対策を取ってください。
3点目としては、サービスを受ける権利だけでなく、認定を受ける権利も奪われてしまうのではないかという不安についてです。厚生労働省の説明を読むと、要介護とならないような方については、認定を受けずに市町村事業へという印象さえ受けました。従来どおり、全ての人が認定を受けた上で要介護度が決定する形を壊さないでください。
4点目に、地域ケア会議についてです。地域ケア会議は法制化されましたが、残念ながら利用者本人をよく知る方が多く参加する場にはなっていません。ケアプラン等の書類を見ただけの本人をよく知らない専門家がいじりまわすようになると利用者本位という考えから大きく離れてしまいます。ぜひこれについてはサービスの選択権を侵害しない程度のものにとどめ、より良いケアプランを作成するためのものとして機能するようにしてほしいと思います。
5点目は、認知症の在宅支援についてです。厚生労働省の調査によると認知症の方のうち介護保険制度を利用している方は280万人、日常生活自立度1又は要介護認定を受けていない方は160万人、MCI(正常と認知症の中間の方)は180万人となっています。この数値を新座市に当てはめると約7千人となり、各日常生活圏域に千人以上の認知症または認知症予備軍がいるということになります。その割には認知症の在宅介護への支援は非常に薄い現状です。これに関しては急務の課題であり、新座市が一丸となって、福祉の面だけでなく、まちづくりや防災全ての観点から計画を策定していただきたいと思います。
6点目は、介護職員の確保についてです。御存知のとおり、介護職員不足は深刻な問題です。今後ますます利用者数の増加が見込まれますが、その増加に職員数が追いついていけていない状況です。これについては一事業者ではどうにもならず、自治体で介護保険制度開始当初行われていたホームヘルパー養成講座などを行うなど、もう一度きちんと対応を考え直さなければ、制度と計画はあってもサービスがないという時代がやってきてしまうのではないでしょうか。在宅介護の中心である訪問介護のホームヘルパーの平均年齢は53歳ですが、この方々も約10年後には高齢者と呼ばれる年齢になってしまいます。こちらも早急な対応が求められます。
最後に申し上げたいのは、説明責任は保険者にあるという点についてです。推進委員の皆さまにはぜひ助言をお願いしたいのですが、私は毎回この場に立ち「市自ら説明をしてほしい」と申し上げていますが、一度も説明を受けたことがありません。自治体は事業者任せではなく、責任を持って、計画策定前、あるいは策定された段階で地域に向けた説明会等を開いてほしいと思います。自治体として市民の信頼に足りる介護保険制度を作っていく努力をお願いします。
私は定年まで医療機関で働き、その後、介護の仕事に携わってきました。その立場から本日は介護問題を中心に意見を述べたいと思います。
本題に入る前に、前回の公聴会にて、地域包括支援センターの名称変更を提案しましたが、その提案が採用され、平成24年度から新たに高齢者相談センターとしてスタートしました。今年1月に実施された日常生活圏域ニーズ調査によると高齢者相談センターの認知度は、前回調査の30.3%から65.8%へと大きく改善され、相談件数も大幅に伸びている点は喜ばしい成果だと思います。また、今回の公聴会の発表時間もこれまでの3分から5分程度となるなど改善されました。推進委員の皆さまを始めとする関係者の方々の努力に心から感謝申し上げます。
さて、医療・介護総合推進法の成立に伴い、介護保険制度は大きく変わろうとしています。その主な内容は「要支援1及び2の方に対するサービスを予防給付から外す」「特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上に限定」「一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割に引き上げ」「預貯金額によっては施設入所時の食費や居住費を補助しない」等です。これらの内容は利用者や家族に大きな不安を与えています。本日はこの中から2点に絞り、意見を述べます。
まず、特別養護老人ホームへの入所を原則要介護3以上に限定することについてです。新座市の平成26年4月1日現在の入所待機者数は255名で、そのうち要介護1、2の方は71名いらっしゃいます。その割合は全体の27.8%であり、今回の改正により入所希望者の多くが入所できなくなってしまいます。要介護1及び2の方が特別養護老人ホームへの入所を希望するのには特別な事情があると思われ、国に対してこの方針の撤回を求めることを要望します。また、新座市独自で対象となっている方の実態調査を行い、救済策を講じてください。
第二に、要支援1及び2の方を予防給付から外す問題についてです。これは要支援の認定を受けた方に対する訪問介護及び通所介護を保険給付から外し、市町村が取り組む地域支援事業へ移行するというものです。当初、厚生労働省は必要な場合は専門的なサービスを引き続き受けることができると説明していましたが、その後、平成37年度には専門的サービスを5割程度に減らすという案を出してきました。私は先ほども述べましたとおり、以前、通所介護に係る仕事をしていましたが、要支援1の利用者が専門的なサービスを受けることで状態が改善し、仕事に復帰したケースをたくさん見てきました。現在、新座市の要支援1、2の認定者数は約1,600人で認定者総数の3割近くを占めています。この方々をいわゆる介護難民にせずに、今、利用している事業所で専門的なサービスを引き続き受けられるようにすることは地方自治体の責務ではないでしょうか。このことが状態の悪化を防ぎ、介護財政の健全にもつながると確信しています。また、事業所に対する財政的支援を講ずることも併せて要望します。新座市ではがん検診や特定検診の無料化など様々な取組みを行っていますが、介護分野においても日常生活圏域ニーズ調査の自由記述で表れている介護保険制度に対する市民の不安や不信を払しょくする機会と捉え、高齢者に寄り添った施策を推進することを期待して発言を終わります。
新座市には現在、36の居宅介護支援事業所があり、私はその中の一つである、「居宅介護支援事業所ケアプランえん」でケアマネジャーをしています。また、ケアマネジャーが自主的に立ち上げた「新座ケアマネジャーネットワーク」という組織の代表も務めています。介護保険は施行から14年が経過する制度ですが、既に4回の介護報酬改定と2回の法改正がなされており、来年4月には法改正と介護報酬の改定が同時に行われることとなっています。制度開始当初の介護保険の形と理念を失い、目まぐるしく変貌していく制度に失望を感じています。しかし、そんな中でも市内のケアマネジャーは御利用者や御家族へ細かい聞き取りをさせていただきながら、納得していただけるケアプランを心をこめて作成しています。最近は認知症に関しての勉強会が多く開催されていますが、徘徊高齢者をどのように地域で見守っていけばよいのか、私たちケアマネジャーも頭を抱えているところです。警視庁によると、平成25年度の認知症の行方不明者は1万322人、また、身元が不明なまま施設に保護されている方は8都道府県に17人もいるとのことです。埼玉県はまだ人数の公表をしていないようですが、今後ますます増加していくと思います。新座市では行方不明者に関して防災無線での放送がありますが、聞こえにくく、放送されるまでにかなりの時間を要する場合もあるようです。このように、徘徊高齢者の見守りについては、ケアマネジャーだけの努力では限界があり、認知症介護の大変さを考えると皆で考えていかなければいけない問題です。警察はもちろん、地域住民、郵便配達員、タクシー会社、配食サービス事業者、介護サービス事業者など動く目を利用していくべきでしょう。また、個人情報の問題も絡んでくるかもしれませんが、情報共有についても検討するべきかと思います。既に他市町村では、形は様々ですが、数多くの見守りネットワークが作られています。年々増加し続ける認知症の方の徘徊による事故を未然に防ぐため、地域を動かすシステムの構築など総合的な支援体制の確立を早急にお願いします。
つづきまして、行政と介護職員、また、介護職員同士の連携についてです。ケアマネジャーの仕事は医療、福祉など地域の様々な人や機関との連携が求められ、幅広い知識が必要となっています。ケアマネジャーだけでなく、介護サービス事業所で働く職員は度重なる改正による変化に不安を感じていると思います。「新座ケアマネジャーネットワーク」には現在、55名の会員がおり、隔月で研修や勉強会を開催しています。このようにケアマネジャーの組織はありますが、訪問介護や通所介護、介護施設などそれぞれの種別ごとの集まりはありません。今後、市町村に様々な権限移譲がされていくと思いますが、事業者と行政との連携を強め、連絡事項等の周知が出来るよう、少なくとも年1回は種別ごとに事業者が集まる機会を設けたらいかがでしょうか。また、種別ごとの事業者の組織化も必要であると思います。この点については、「新座ケアマネジャーネットワーク」の研修でも参加者から声があがっています。国や県から市町村への権限移譲により、業務が増え、職員の皆さんも大変かと思いますが、新座市のより良い発展のために以上の点についてお願いいたします。
国は消費税増税法案成立前に消費税の値上げ分は福祉のために使うと言っていました。しかし、増税法成立後に続いて成立したのが「医療・介護総合推進法」であり、これは介護サービスが利用しづらくなるような内容でした。この法律については2番目の発表者の方が詳しくお話しされていましたが、主な内容としては、「要支援者の方に対するサービスの一部は介護保険の対象外とし市町村事業へ移行」「特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上に限定」「所得に応じて、利用料の自己負担を2割に引き上げ」というものです。
私は平成4年から約10年間、新座市の手厚い福祉と介護のお世話になりながら姑の介護をし、平成16年には夫も見送りました。現在、82歳となり、手足も悪くなってきて、今後は自分自身が介護保険のお世話になるかもしれないと思っている時に、このような内容の改正法が成立してしまったのです。要支援者に対するサービスの一部はボランティア団体等が担うことになるとのことですが、地域の皆さんは多忙な方が多く、ボランティアに参加できる方は少ないのではないでしょうか。今まで新座市では福祉や介護に手厚い施策を実施してきたかと思いますが、今後も国に対し、市民の意見を伝え、市民に優しい市政運営をお願いしたいと思います。
介護に係る国の方針については、私の周りでも不安の声が多く挙がっていますが、本日は自身の経験を通して考えていることをお話したいと思います。
病院を退院する高齢者が退院後も介護が必要な場合は、本来であれば、退院前に介護保険の申請を行い、自宅で介護を受けられるようにするべきですが、多くの医師は「介護保険を利用した方が良い」と言うのみで、具体的なアドバイスはしてくれません。
私が出会ったある80歳を超えた御夫婦のお話です。妻から「夫が病院から自宅に戻るにあたり、介護保険の手続きがまだされていないという連絡を受けたがどうしたらよいか」との相談を受け、私は地域包括支援センターへ連絡しました。そこでの対応は今ひとつだと感じる点がありましたが、しばらくすると職員の方が訪問してくださり、その後の対応はとても素早く適切なものでした。現在、その方の状態は以前と比べると、少しは良くなっています。
退院時には病院に付き添いましたが、病院側は「退院後は元気に自宅で暮らせるだろう」というような楽観的な考えでいるようでした。その後、リハビリでお世話になった介護職員が「病院との話し合いに参加させていただければ、在宅での介護について助言ができていた」とおっしゃっていて、医療と介護の連携の必要性を強く感じました。また、最後になりますが、認定前に介護サービスを利用したい場合にも柔軟な対応をお願いします。
認知症患者数は、平成22年の251万人から平成27年には302万人と大きな増加が見込まれています。これを踏まえ、本日は認知症についての意見を中心に述べたいと思います。
今回の改正では、要支援1及び2に対するサービスの一部を予防給付から外し、市町村事業へ移行するとのことですが、今まで専門家が行ってきたサービスをボランティアが行う介護予防教室や交流サロンなどに置き換えられてしまうと要介護度が悪化してしまう方がたくさん出てくると思いますし、市町村の財政的な負担も大きくなるのではないでしょうか。最低でも今までと同等のサービスを受けられるようお願いします。
厚生労働省研究班によると、現在、認知症高齢者は462万人と言われ、訪問介護を利用している要支援者の81.4%、通所介護を利用している要支援者の87.7%に軽度の認知症状が見られるとのことです。要支援者を保険給付から外すことは、早期発見、早期対応という認知症ケアの原則に反します。市は65歳以上の高齢者へ年1回介護予防基本チェックリストを送付し、その結果に応じて、健康教室等への参加を促していますが、そういった活動へ参加することは機能低下を防ぎ、認知症予防につながります。広報にいざを見ると、「にいざ元気アップ広場」や「接骨師のコツコツ体操」など健康を保つための様々な事業を実施されていることがわかります。リピーターとなる方もいらっしゃるかと思いますが、いかに新たな参加者を増やすかがキーポイントになるのではないでしょうか。また、希望者は全員参加できるように工夫をしてください。
新座市の介護保険パンフレットには地域密着型サービスとして小規模多機能型居宅介護というサービスについての説明が記載されています。状況を把握している職員が対応するため、環境の変化を不安に感じる方、特に認知症の方などに最適なサービスとのことで、さらに充実させていっていただきたいと思います。
認知症施策推進5か年計画では平成26、27年にかけて、認知症ケアパスを作成し、平成27年度以降の事業計画に反映することとしています。地域包括ケアシステムの中で「自助」「互助」といった言葉が強調されている点が気がかりですが、認知症ケアパスの結果など今までの実績を参考に、後退しない内容にしていただきたいと思います。
話は変わりますが、私は、「医療生協さいたま」の組合員で、現在、「医療生協さいたま」では認知症予防のための「脳いきいき教室」を開催しています。期間は7か月で、6~8人のグループで月1回集まり、食事のとり方や体操など5つの課題について、その1か月に行ってきたことを報告したり、参加者が選んできた本や新聞記事をみんなで声を出して読んだり、体操や自分たちで考えたゲームをするなど、楽しく過ごしながら認知症にならないためのことを毎日の生活に定着させるための教室です。他の参加者から自慢の健康法などを聞き、実践することで元気になる方もたくさんいらっしゃいます。認知症は誰でも発症する可能性があり、かかってしまうととても辛い病気です。友人や近所に住む方同士で助け合えたらそれに越したことはありません。市での取組だけでなく、こういった地域の団体の独自の取組の活性化のためにもぜひ御支援をお願いします。
最後になりますが、医療生協新座支部では約1,300人の組合員がいますが、機関紙「けんこうと平和」を65人ほどで配布しています。訪問すると、留守の方も多いのですが、その際に見守り活動ができないか検討しているところです。
午前11時30分閉会