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平成23年度第2回野火止用水文化的景観保存計画策定委員会

ページID:0003352 更新日:2012年2月6日更新 印刷ページ表示

会議録

会議の名称

平成23年度第2回野火止用水文化的景観保存計画策定委員会

開催日時

平成24年 2月 6日(月曜日)
午後 1時30分から
午後 4時15分まで

開催場所

新座市観光プラザ2階 交流ルーム「せせらぎ」

出席委員

【委員】

亀山章委員長、根岸茂夫副委員長、福田知明委員、中西裕二委員、村上雅巳委員、長谷川栄委員、小山晏雄委員、黍塚賢委員、松竹寛山委員
(計9名)

【指導者・助言者】

文化庁文化財部記念物課文化的景観部門技官 鈴木地平、 埼玉県教育局市町村支援部生涯学習文化財課指定文化財保護担当主事 戸來吏絵

事務局職員

教育総務部長 田部井利江、
教育総務部副部長兼教育総務課長 小杉誠、
生涯学習課副課長兼学芸員 斯波治、
生涯学習課主事兼学芸員 川端真実、
生涯学習課主事兼学芸員 川畑隼人

会議内容

  1. 開会
  2. 挨拶
  3. 委員・指導者・助言者紹介
  4. 議題
    (1) 野火止用水文化的景観保存計画の策定について
    ア 野火止用水文化的景観保存活用調査から計画(素案)への流れについて
    イ 計画の概要について
    ウ 重要な構成要素について
    (2) その他
  5. 閉会

会議資料

  • 次第
  • 野火止用水文化的景観保存活用調査(平成17・18・22年度)
  • 野火止用水文化的景観保存計画(素案)意見・質問票

公開・非公開の別

公開
(傍聴者 0人)

その他の必要事項

※保存計画策定業務委託受注者同席
株式会社LAU公共施設研究所 牧野真大

審議の内容(審議経過、結論等)

1 開会(斯波副課長)

2 挨拶(亀山委員長)

3 委員・指導者・助言者紹介

今回が初出席の方を中心に、事務局から紹介を行う。

4 議題

(1) 野火止用水文化的景観保存計画の策定について

ア 事務局から資料により議題(1)ア及びウの説明が行われる。
イ 審議

(委員長)

全体のストーリーは、保存計画を策定するに当たって、前段に調査報告があり、その中に重要な構成要素があって、その次にこれを基にして計画を策定するということでよろしいか。
まず、資料「野火止用水文化的景観保存活用調査」だが、これはこれからさらにまとめるということか。重複や矛盾するところがあり、修正すべき点がたくさんある。現段階は全くの叩き台だと思ってよいか。

(事務局)

平成17・18・22年度行った調査から切り貼りして資料としている。

(委員長)

文章の矛盾など限りなくたくさんある。どこかで精査していただけるか。

(事務局)

事務局として気付かない点だった。もちろん精査させていただく。

(委員長)

資料の地図に年代が入っていないものがたくさんある。例えば32ページ「野火止用水等流路と近世村落図」だが、現在の地図の上に昔の村をのせているならそのように書いていただいた方がよいし、34ページ「野火止用水全域図」などもそうだ。そうしないと理解が得られない。
それから、50ページ「平林寺境内絵図」はすごくよい図だが、これがいつのものか分からないか。この絵図がなぜ大事かというと、今の池のところに左から水路が来ていて、表側の庫裡の方から庭の間のところに水路が通っている。庭の裏手の方から水路が来ているというのが今の状態だが、この関係というのが大事なところで、用水がどの池に入ってきたのかが大事で、それを知るためには、この絵図がいつの時代のものなのかが重要だ。
また、52ページ「野火止用水古絵図」もいつのものなのか、掲載するなら文字が読める大きさにするなど、いろいろ作業していただく必要がある。

(事務局)

再度、事務局で精査させていただく。

(委員長)

細かい点ではなく、大きな考え方について御意見いただけるか。
まず、調査報告についてお気付きの点、御意見いただけるか。
第1章・第2章のつなぎが分かりにくいというか、弱いのではないかと思う。

(事務局)

今回の資料については乱暴にまとめた面があったが、元々、平成17・18・22年度の調査はそれぞれ1冊の報告書として出来上がっている。
ピックアップをしたところに乱暴な面が見えてしまった。

(委員長)

個々の報告書ではなく、報告書を編集し直してまとめることに意義があるのだから、元にさかのぼって見る必要はない。こういう資料の修正点などを指摘する手間をこの会議の場に持ち込まれるよりは、報告書を基にして編集し直すとこういうものになる、と言っていただいた方がよいだろう。
第1章と第2章の関係、第1章から第2章への流れがもっと丁寧に説明されていると良いと思った。第2章で地域区分というのがあるが、どういう風に出てくるのだろうか。これが後々ずっと書かれている。57ページにも地域区分があるが、これが後で反映してくるだろう。これが何なのだろうか。昔の字境ではないのか。

(事務局)

字境ではない。

(委員)

野火止用水文化的景観保存計画(素案)9ページ「文化的景観の範囲」のゾーンニングと、調査資料57ページのA~Kの区分はずれているが。

(委員長)

エリアの取り方の話になったときに、ここは水路がないから削ったとか、最初は大事な場所だと見ていたのに、素案になるとどうでもいい場所になっていたりするようだが、文化的景観を捉えるときに、新田集落というものが用水によってもたらされたということが大事ではないか。どうもそのつながりが分かりにくい。

(委員)

調査資料57ページの区分から97ページの景観単位では落ちているゾーンがある。Aは水路がないからと言っていたが・・・。

(委員長)

Aを景観単位に入れるのは難しいか、難しくないのかという問題はともかく、文化財として考えたい訳だから、文化的景観としてどういうものが残されているか、史実として過去にどういうところを水路が通っていたか、史実がどうだったかという問題と、現況においてそれがどうなっているかという問題、これが現在の文化的価値の問題だろうと思う。そこをしっかり確認した上で、これを文化財として普及するかしないかというときに、一つの判断としては現状において文化財として守られるべきものかそうでないかは段階的に考えないといけない。史実が基本であり、自然環境がバックにあるのが基本で、どのような形で今残っているのかが文化的景観ではないか。その整理の仕方がすっきりしないところがあるのではないか。少し整理した話にしないと、混乱するといけない。いろいろ調べられているから、そういう整理の仕方をさらっとやってくだされば、そう難しい話ではないはずだが・・・。

(指導者)

委員長に大きい話をしていただいたので、大きい話つながりで申し上げたい。いろいろお調べになって、いろいろ要素があるということはよく分かったが、そもそも野火止用水の文化的景観の価値というのはどう考えているか。それはまさに、第1章と第2章が食い違っているというのはそこにある気がする。第1章で新座市史のダイジェスト版みたいなものが書かれていて、いきなり第2章で現況の区分がされているので、いろいろな歴史的要素、自然的要素、生活・生業の要素もあるというのを、少し文化的景観としてどういう価値があるのか、史跡、「もの」としての野火止用水がもたらしたもの、人の生活上にもたらしたものもあると思うので、そういう観点から編み直さないと、ちょっと文化的景観につながらないのではないかと思う。今のままだと、野火止用水に関していろいろある、という結論しか導かれないのではないか。先ほどお示しいただいた重要な構成要素に如実に出ており、野火止用水に関連するものを集めるとこれだけになる、という話なだけだ。結局これが文化的景観としてどういう価値になるのか、地域にどういう価値があるのか、もう少し委員長がおっしゃったようにまとめ直し、編集のし直しが必要ではないか。材料はたくさんあるが料理はされていない状況だ。これが一番大きな問題だ。

(委員長)

文化財の単体を扱っている話ではない。建造物みたいなものは単体なので分かりやすいが、そういうものではない。

(事務局)

もう一度説明し直させていただくが、地域を区分するに当たっていくつかの手法を取っている。一つは、現在の土地の開発の状況や、その中で用水が用水跡も含めてどう使われているかを考慮した上で地域区分を行った。調査資料60ページにおいて、昔の行政境ではなく、今どうなっているのかということで分割したのがその図になる。これを基にして、地域性も少し含まれてはいるが、基本的には地域性というよりは現在の流れが前提ということで分けてみたものだ。それぞれの地域がいまどのような状況にあるのかというのが62ページになる。この分割図を基本として、離合集散という訳ではないがまとめた中で、地域の状況、構成すべき要素が残されているのかどうかを考えた上で、93ページの図に行き着いていった。それをまとめたものが、97ページの図、98ページの表になる。段階を追って見ていった中で、範囲がある程度絞り込まれていった。

(委員長)

57ページに都市計画基礎調査を使っていると書いてあるが、都市計画基礎調査の何を使ってA~Kの区分になったのか。都市計画基礎調査はいろいろな図面を作るが、その中のどれを使っているか。なぜそこにこだわるかというと、この地域に分けているのが、水路、上水などの関係と合っていないところが心配だからだ。

(事務局)

60・62ページについては、元々は用水流域に野火止村、西堀村、菅沢村、北野村という大きく分けると4つの村があった。この4つの村を細かく線引きをすることが資料的に非常に難しかったため、村を基本にはしているが、そのほかにもう一つ西屋敷という地域もあったりする。平林寺は平林寺という地域、しかも平林寺、西屋敷、西堀というのは一帯のものであるということから細かい線引きではないが、村の区分をして、村の区分の中から細分をし、周辺の地域、野火止村以外の明治でいう片山村も含んではいるが、これらの地域を全体で見てみた。
これに対して、97ページでは村の中で実際に違いがあった時にどういう違いがあるのか資料が不足していて押さえ切れないため、景観として状態がよく残されている地域、それらを押さえてみるとこういう地域にこういう特性があるというのが分かるのがこの図になる。そのような中で、旧川越街道沿いはほとんど景観として残されているものがない、人々の生活としては中心地域になるが、非常にその辺が弱い。このような状況の中で範囲がどんどん限定されていった経緯がある。

(委員長)

考えてきたプロセスが表現されていない。だから分からない。なぜこうなっていくのかというのが弱い。最初の方の区切りはどちらかというと旧村落である程度考えられている。どこで、何を基に考えているのかということを明確にしながら、プロセスをしっかり書いて、エリアがはっきりしていないと議論がしにくくなる。

(指導者)

魅力的な背景はたくさんある。そもそも新田開発で使われていたり、平林寺が使っていたり、いろいろな魅力的な自然の背景、歴史の背景はあるのに、それを全部すっ飛ばして、突然現在の土地利用の話になっているから、委員としては受け入れられないということなので、事務局で再整理し、せっかく調べた魅力があるのだから、それを踏まえて、結果的に今と同じエリア分けになるのかもしれないが、そういうところが反映されているというのが今見えにくいから、分からないのではないか。

(委員)

かつて昭和30年頃まで井戸はなかった。生活の炊事、洗濯、風呂など全て、夏の行水だって川だった。そういう面からいくと、今事務局が言っていることは分かりにくい面もあるかもしれないが私は分かるところがある。非常に重要な野火止用水があまりにも様変わりし過ぎている。現在では水が流れているだけで、水を使っている姿は見ない。昔はホタルがいて、カワニナもいた。コイ、ゲバチやハヤなど、玉川上水から入ってきたのではないかという想像はしているが。昔の人に聞くと、狭い小川では、資料に「ドンドン」と書いてあるが、堰を掛けてその下が深くなっていてザルですくうと魚が捕れたという。また、夏になるとホタルが家の中に飛んできた。水量もかなりあった。自分が住んでいるのは本流・八軒堀だが、そこでカニを捕っていた。食べたことはないが、遊びとしてカニを捕っていた。

(指導者)

やはり今のお話にあったように、人がいきいきと使っていたことが一つの文化的景観の価値だ。ただそこにものがあって、水が流れている訳ではなく、人が豊かに関わっていたというところがほしい。

(委員長)

事務局がもう一回資料を編集し直して、同じ形にした方がよいか。どちらにしても作り直してきれいにしないといけない。

(事務局)

より見やすく分かりやすく系統立ててということでよろしいか。

(副委員長)

全体は大変だと思うので、一番問題なのは56ページまでの調査を基に57ページの土地利用のゾーンを、いかにして分けたのかということを増補してもらうことが重要で、そこだけをまず作ってもらうというのはいかがか。全体として矛盾があるのは後で直していただくとして、そこの部分があれば、次々と分かってくるだろうし、そのときにぜひ文化的景観とういものがそこにどう表れているからこうなった、というような結論にしていただければよいのではないか。特に57ページを作った経過を説明してほしい。

(委員長)

ただし、この分けられたゾーンというものがずっと行くのか。素案9ページに、景観計画で定めるゾーンとの整合性を考慮とあるが、ほかの計画で考えている地域区分図や、いろいろなものと整合性を図らないといけないのか分からないが、最後まで生き残るゾーンを頭の中にしっかり入れて途中段階をやっていかないと、最後にいきなり実はこのゾーンは使わないということになったら何のやめにやってきたのかということになる。
また、調査資料97ページの点線(用水跡)は範囲に全て入れなくていいのか。価値を有しないものだから範囲外に出しているかどうかだが・・・。

(委員)

範囲外の用水路跡はもう見られない。

(委員長)

記録ではあるけれども現況ではないとか、どの程度に残っているかなど、そういう目線で線を引いているのか。後で整理しようと考えたときに、もう少し水路を何とかできないかとなると、範囲から外れてしまっていると何もできなくなる。

(副委員長)

旧川越街道は入れるべきだと思っているが、もし外すのであれば、西堀や西屋敷の重要さを強調しないといけないのではないか。例えば、調査資料30ページの写真は、川越街道沿いの野火止の航空写真であって、これこそ典型的な野火止の姿であり、ここに写真が入っているのになぜ範囲に入っていないのかという話になってくる。

(委員)

第1回会議で、一部暗あん渠きょや歩道になってしまっている志木駅方面について、いつのことか分からないにしても復元して整備するというように聞こえたが、そういう計画はおそらく具体的にはないのだろう。新座駅前から本流の(仮称)ふるさと新座館建設地までの一帯は工事して、なかなか今の時代に風情のある様子になっているが、それから先のことについては、願望はあるにしても具体的な計画はないということでよろしいか。
航空写真の話があったが、センター試験の地理に野火止新田の問題が出題されたようだが、全国的に新座市野火止というものが、どれだけの人間が目にしたか、正解率はどうだったか分からないが、自分達が野火止用水の平林寺のふもとに生まれて、野火止用水で生活して、風呂や飲み水、ホタルや魚捕りをして子どもの頃から生きてきた人間からすると、だんだん都市化されていくのは止むを得ないことだが、野火止用水と新田開発の今があって、遅ればせながらこの時点で文化的景観ということで網掛けをして、価値を共有していただけるようにということでこの保存計画が作られているということだと思うので、表現の仕方など事務局は大変だと思うが、途中で頓挫するようではせっかく汗してももったいないことなので、限られた時間の中かと思うが、実りあるものにして次の世代に残せたらということでお手伝いさせていただけたらと思う。事務局はやりがいのある仕事だと思うので、少しでもお手伝いさせていただく。

(委員長)

そういう文化的景観にしていただきたいので、そういう意味では完成度の高いものにしていかないといけないと思う。

(委員)

文化的景観の価値をどこに求めるか?と言われると、ドキッとする。理論立てて説明するには、どういう表現がよいのか。

(指導者)

よく仏師の方は、「私が仏を彫っているのではない、木の中に仏様がいらっしゃるのを彫り出しているのだ。」とおっしゃっている。文化的景観もそういうものだと思う。元々地域の皆さんや外には認知されていないけれども、営まれてきた生活・生業があって、特別今から何か発信するとか、こんな形で輝かせるとか、今ある姿の中で、どこにどういう価値があるか、お父さん、おじいさん、ひいおじいさんの世代からずっと暮らしてきたそこの地域の在り方、そういうのを見つけていく話だ。
せっかくやる話なので、本当に実のある話になっていければ、なっていかなくてはいけない。

(委員)

今、平林寺は緑道が整備され、野火止用水の一部分にしても素晴らしく、それを求めて癒しの空間として、春は新緑、秋は紅葉、本当に新座だと思えない、京都に行ったみたいで、関東の京都だとよく人には言っているが、ここはどこかと思うような恵まれたところだ。平林寺だから森・林が残されているのだと思う。民地だったらとっくに開発されて、野火止用水の西堀から東の方までみたいになってしまったことだろう。本当に平林寺があってよかった。平林寺の力は大きなものがあり、平林寺の御利益は広く皆さんが享受できるように、野火止用水も含めた癒しとして共有できるようにしていただけたらと思う。

(委員長)

そういう点で言うと、調査資料の中に、平林寺と野火止用水の関係をきちんと書いていない。平林寺にはいろいろあるとは書いてあるが。

(委員)

昭和20年代後半か30年代頃だと思うが、平林寺のお坊さんから、野火止用水は平林寺と当時の大和田町で管理しているという話を聞いたことがある。平林寺があるお陰で我々は水の恩恵を受けた。

(委員長)

だからその関係はすごく大事だ。そういう文脈で書かれていない。平林寺と野火止用水は一体のもので、平林寺があって野火止用水が開削された。平林寺は野火止用水の文化的景観の中ですごく大事な中心の一つだが、そういう位置付けになっていない。この関係をしっかり書いていただくと、野火止用水と関連のある大事な文化財であるということになる。書きぶりが大分違ってくると思う。

(委員)

平林寺の庫裡の中に生活用水が入っているということだが、旧川越街道沿いにもそういう用水堀の生活に使っていた見える部分も区画整理などで危うくなっている。現在、そのまま残っているのは平林寺の一角だ。大変なことだと思う。

(指導者)
これも行政の報告書であり、恐らく格調高い、学術的なところを事務局は目指しているかと思うが、一方でこれを突き詰め過ぎると、地元委員から意見があったように、豊かな暮らしぶり、人間味の部分が欠け落ちてしまう。もっと情熱ほとばしるように書いていただけると良いと思う。特に、計画みたいなものはどうしてもよそ行きの書きぶりになってしまう。本当に豊かな、人間味のある計画にしてほしい。

(委員)

今キャッチフレーズとして、“すぐそこ新座”という言葉があるが、お化粧して、ボストンバッグを持って一泊二日で京都や日光に行くということではなくて、普段着でおにぎりやペットボトルを持って、癒されに行きたい、ちょっとすぐそこにある平林寺や野火止用水に行くということが評価されていると思う。そういう場があるというのはありがたい。

(委員長)

貴重な御意見をいただいたので、資料は編集し直してほしい。

ウ 事務局から第1回会議資料「野火止用水文化的景観保存計画(素案)」により、議題(1)イの説明が行われる。
エ 審議

(委員)

素案16ページ「雑木林、屋敷林、農地の保全に努めます」というのは具体的にはどういうことか。

(事務局)

例えば、雑木林についてはまだ具体的な事例がなく説明しづらいが、今みどりと公園課、グリーンサポーターというボランティアの方々が行っているような形で雑木林の管理が行っていければ、という風には思っている。
屋敷林については、個々の持ち物なので具体的に申し上げにくいところはあるが、同じような形で屋敷林の管理をさせていただけるようであれば、より残していくことが可能ではないかと思う。
農地については、例えば市民農園のような方向性が見いだすことが出来ればよいと思う。

(委員長)

計画ではこのように記述しておいて、庁内のほかの部局、例えば農政サイドと今のような話をするとか、樹林であれば保存樹木など他の条例でもって何とかすると考えていけばよいか。事務局で全部やるという話ではなく、こうやっていきたいと言っておいて、いろいろな制度を活用してやっていきたいという話でよいか。そういうことを視野に入れて書いていってほしい。
景観計画についてだが、景観計画が先行している訳だから、どう整合性をとるか、かなり深く考えておかないといけだろう。
それからもう一つ、野火止用水と今は言っているが、私の認識としては「野火止用水と平林寺」であり、平林寺の記述が抜けている。平林寺の役割、平林寺の重要性というのがどう書き込まれているのか読めない。用水だけではなく、この文化的景観の中で平林寺が重要なのだから、名称にしても、「野火止用水と平林寺」と書いてよいのかもしれないが、どう考えているのか。もっと積極的に書き込むべきではないか。素案24ページ「重要な構成要素」も平林寺抜きには語れないのではないか。文化的景観の中では、ものすごく大事だ。

(事務局)

24ページについては、あくまでもイメージで掲げてみて、平林寺がたくさん出てくるのは書き易かったという単純なものだったが、ほかにも数多く重要な構成要素があろうかと思うが、平林寺を中心として物事を考えるか、野火止用水を中心として考えるのかということはある。最初、文化的景観に選択を受けたとき、「野火止用水とその周辺の文化的景観」という話だったと記憶しているので、まずは野火止用水とその周辺というのがあって動いていくかと思う。野火止用水と関わりのあるもので考えていくと、平林寺の中にかなりある。

(委員長)

「野火止用水とその周辺」と言ったときに、その周辺ではなく、一番大きな大事な存在としてあるということをもう少し浮き彫りになるようにしておかないといけないのではないか。用水だけ見ると、枯れかかった用水の話だけということになりかねない。

(指導者)

最初の話の価値付けの部分と一対一対応ではあるが、やはりこちらの価値付けの方を固めると、もう少し第5章や第6章が固まってくるのではないかと思う。やはり計画になると、さらに平板になったというか、人間味がなくなってしまった。関東圏だと昨年9月に群馬県板倉町の「水場」が重要文化的景観に選定されたが、用水だとちょっと言葉を変えてもそのまま使えるような、地域のよさが大分削り取られてしまっているので、もう市長の了解を取られているのであっても、このままだとこれを受け取って文化審議会にかけないといけないのだが難しいところがある。
景観計画との関連だが、規定されている景観計画をそのまま使うのか、文化的景観ということで新しい観点もあるので、景観計画や新座市にとって野火止用水というのは市の位置付けの中でどれだけ重要か分からないが、基本構想などに反映されていかないといけないと思う。景観計画だとよく風致が書かれるが、野火止用水沿いに高さ15メートルの建物がどんどん建ってもよいのかという話になってくるので、価値付けの部分と一対一対応で、もう少しこの計画の方も詰めないといけないのではないかと思う。こういう計画であれば都市計画が作れるような話だ。せっかく教育委員会の文化財部局がやるのだから、歴史とか地域の文化、暮らしという観点でやっているので、重視していただきたい。

(委員)

修行僧の生活も文化的景観に入るか。平林寺が明治の終わり頃に専門道場になった。修行僧が何人も出ている訳だが、そういった中で例えば志木とか朝霞だと一月に一回位は托鉢に行っていた。こういう景観は中々見られる姿ではない。

(指導者)

平林寺と野火止用水がこの新座の集落とか町の形成の中でやはり大きな二つの要素だと思う。ここに人が住むようになって、集落を形成するようになった要素だと思うので、これが文化的景観だ。ここに水が流れているとか、そこにお寺があるという、それがどういう新座らしい町を作ってきたのか。例えば板倉町だと利根川と渡良瀬川に挟まれたところで洪水が出る、水をよけるためにどうやった工夫をしてきたかということがあった。野火止用水では水を開いたことがどういう地域形成につながったのか、平林寺があるということはどのような地域形成につながっていったのか、それが文化的景観だ。決して山の中だけで暮らしている訳ではない、地元に降りていかれる、街中でも見かける光景だ。

(委員)

平林寺では近くの農家から大根をいただいて、それを漬けている。昔の野火止用水の光景だ。

(委員)

子どもの頃に聞いた話だと、自分の親や兄弟は、平林寺に手伝いに行くともてなしとして沢庵をいただいたそうだ。

(委員)

昭和30年ぐらいまで活発だった。

(指導者)

首都圏から25キロに位置しているが、25キロ圏内のどこの土地にも多分ない、新座らしさの根幹の一側面だ。それはすごく大事だ。

(委員)

観光の立場から言うと、当然、最近の文化的景観保存は活用が非常に重要視されている。素案25ページに遊歩道の整備、案内看板の整備などハード面が書かれているが、やはり人の育成、ガイドや語り部など、ここの文化的価値がどういうものかというのを追加してはどうか。自分で調べて来られる方、勝手に歩きたいという方はハード面の整備が必要だろうが、今の観光だと地元の方と交流したいというニーズが非常にある。きっちり野火止用水の歴史とか文化的価値を語ってもらえる人、いわゆるボランティアガイドなど、野火止用水の文化的な要素として、こういう人達の育成を計画に明確に書いた方が良い。27ページに「人材の育成にも努めていくものとします」と書かれているが、この辺りをもう少し明確に項目を出して、この保存計画の中でも書いた方がよい。観光推進課などと一緒にボランティアガイドの育成に取り組むなどしたらよい。一つの例として、昨年12月7日にJR主催「駅からハイキング」で新座駅から歩き、二千人ぐらいの人達が参加し、市外・県外から来られていたが、自分のゼミの学生が20人ぐらい運営ボランティアスタッフとして参加をさせてもらった。そういう中でガイドやボランティアスタッフの育成と、そういう野火止用水・平林寺のファンを作ると、よい景観があるということでぜひ残してほしいという声が市外からもどんどん湧き上がってくれば、当然これは保存しないといけなくなるという方向になると思うので、計画に明確に入れた方がよい。そうすれば今後のいろいろな支援にもつながっていくのではないかと思う。

(委員)

最近、本当によいガイドが多い。

(委員)

本当によいガイドに知り合うと、またその人と話をしたいということでここに訪れたいという人がどんどん増えてくることによって、野火止用水やその周辺の地域をぜひ残してほしいという声が上がってくれば、国も当然支援していかないといけなくなるだろう。観光的な要素をぜひいかして、交流人口の拡大につなげていってもらえればと思う。

(委員)

野火止用水沿いでホタルの飼育を始めて10年になる。手探りで始めたものが、二日間で5,000人もの人が市内外からお見えになった。

(委員)

首都圏からこんなわずかな時間で来られるところで、ホタルが見られるというのは、本当にずっと保存がされている。

(委員)

昨年、朝日新聞に特集をかなり大きく組んでいただき、その流れで皆張り切ってやっていて、恒例化している。頑張って今年の7月にも皆さんに見ていただこうと思う。出来れば野火止用水でホタルを飛ばしたい。今人工的に井戸を掘っていただいてそこでやっているが、そういうものも力になればと思う。

(委員)

こういうことが保存につながると思う。機運が盛り上がるとか、これは当然保存していかないといけないという話につながる。一概に、観光が環境破壊につながると言う人がいるが、今はそうではない。

(委員)

ウォーキングや駅からハイキングなど、市のイベントに年間どれだけの人が参加したか、観光ボランティアガイドを利用した団体数などは分かるだろうか。観光ボランティアガイドの方は丁寧に説明されている。自分の地域のことをよそから来てくれた人に興味を持ってもらう、認知をしてもらう、評価をしてもらうということが、満足するし、誇りになると思う。
そういう意味からも、今の観光ボランティアガイドのシステムは一石二鳥にも三鳥もなるよい施策だと思う。本当に皆喜んでいる。

(2) その他

第3回会議は、2月21日(火曜日)午後1時から新座市観光プラザ2階交流ルーム「せせらぎ」において開催する。
※会議終了後、この予定は中止となり、新たに第3回会議を3月12日(月曜日)午後1時30分から新座消防署3階災害対策室において開催することとなった。

5 閉会(根岸副委員長)


野火止用水文化的景観保存計画策定委員会