ページの先頭です。

第79回教育懇談会の概要

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年1月22日更新

日時

令和2年1月22日(水曜日) 午後1時30分から午後3時まで

会場

中央公民館 講義室

参加者

15名

懇談会座長

金子教育長

出席委員

金子教育長、鈴木教育長職務代理者、宮瀧委員

司会進行

城間教育総務課主任

担当部課長

渡辺教育総務部長、金子教育総務部副部長兼生涯学習スポーツ課長、鳥之海教育総務課長、新井中央公民館長、上原中央図書館長

梅田学校教育部長、大井学校教育部副部長兼教育支援課長、鶴田学務課長、丹代教育相談センター室長

事務局

森山教育総務課副課長兼管理係長、戸川教育総務課総務係長

1 教育委員会教育長あいさつ

 本日は御多忙の中、御参会いただき感謝申し上げる。教育懇談会は年3回実施しており、本日は第五中学校区及び第六中学校区を中心に開催する。皆様の教育に関する御意見を伺い、教育行政に反映していきたい。

 令和2年4月から、小学校においては、新しい学習指導要領による教育が展開され、中学校においては、令和3年4月から新しい教育課程で進めていくことになる。これまでは、10年に一回程度、不足したものを補うという形で改定を行ってきたが、今回の改訂は、根本的に未来を志向した改定である。10年~20年後、子どもたちが大人になり、社会で活躍していく時代に、どのような力が必要なのか、今からその力をつけていかなくては立ち行かなくなってしまうという危機感のもとに、新しい考え方に基づき教科書が編纂され、学校においても教育課程を作成していくことになる。小学校においては、4月から全ての教科書が変わる。教科書展示会を実施したため、御存知の方もいるかと思うが、教科書にはQRコードが沢山掲載されており、QRコードを開かないと読むことができない。学校にはスマートフォン等の持ち込みが禁止されており、機器を準備しなくては、利用できない状況になってしまうため、国も思索しているところである。本日はプロジェクターの映像を御覧いただき、これからの教育がどのように変わっていくか、御承知いただきたい。その他のことについても、忌憚のない意見、要望、提言を出していただきたい。 

2 新座市の教育についての説明(教育長)

 来年度から小学校は新しい教育課程に変わる。教育に対する考え方についても、主体的、対話的で深い学びを目指し、アクティブラーニングと呼ばれる子どもの意欲や関心、姿勢が学びに向かう力をつけていこうとするものである。これまでのように、教員が黒板の前に立ち、知識を伝授するという方法もなくなるわけではないが、今後、子どもたちが自ら学びに向かう力をつけていかないと、混沌とした時代を生き抜く力にならないという考えに基づき、教育課程が編纂されている。

 小中学校の施設設備については、現在は、大規模改修工事が停滞しているところがあるが、来年度以降は計画的に進めていく。これまでも、時代の要望に沿った形で、教育環境を整えてきた。例えば、以前は学校のトイレが「臭い、汚い、暗い、危険」の4kと言われ、教育懇談会においても多くの要望を頂いてきた。家庭生活と学校環境との乖離が生じ、子どもたちが生まれながらにして、洋式トイレが当たり前になっていたところ、学校は和式トイレのままであった。和式トイレの利用方法が分からない子どももいたため、床に上履きの向きをマークで塗る等工夫をしたが、根本的な解決が必要なことから、全学校のトイレ改修を行った。体育館の電気についても、まだ水銀灯の学校もあるが、ほとんどの学校をLEDに替えた。教員の環境もデジタル時代になり、教員が事務処理を行うにあたり、手書きからパソコン入力に変えるため、一人一台のパソコンを貸与し、校務システムを導入し、出席簿や成績等、全ての記録ができる環境にした。これまでは児童の名簿にゴム印を押す等していたが、通知表も手書きから、データの打ち出しが可能になった。成績書類や指導要録の学校での保管については、埼玉県より紙ベースで保管するようにとの指示があるため、紙ベースで保管しているが、デジタル処理が可能になっている。これからの教育がどのように変化していくかについて、映像を御覧いただき、御説明する。

~プロジェクター視聴~ 「学校における一人一台端末環境」文部科学省公式プロモーション動画  You Tubeより

 12月13日に閣議決定がされ、日本の子どもたちに、1人1台のタブレット又はパソコンを提供して授業を展開していくよう、大きく舵が取られた。これからは、パソコンやタブレットを使用した授業が様々入ってくると思われる。新座市では、現在コンピュータールームに40台のパソコンを設置しており、今年度予算で、各中学校にタブレットを10台導入したものの、非常に貧しい状況であった。その後、12月補正で1,000台の導入が決定した。ただし、まだ一人一台の環境には及ばないため、今後計画的に整備を進めていきたいと考えている。同時に、パソコンがあってもインターネットにつながらなければ意味がない。現在は、教室の無線LANの容量が少なく、10~15台以上のパソコンをインターネットにつなげるとフリーズしてしまうため、容量をギガレベルまで拡大し、1つの教室で40台のパソコンを使用してもインターネットにつながるよう、準備を進めているところである。子どもたちにとっては、デジタルな能力が必要不可欠である。先日、OECDのテストが実施された。日本はこれまで比較的成績が良かったが、今回のテストは、パソコンで出題され、パソコンで回答する方法だったため、成績が大きく落ちてしまった。これにより、日本の子どもたちは、ディスプレイを使用する学習に慣れていないということが露呈したため、国も危機感を持ち、一人一台の環境を作り、ICT教育を充実させていくことに踏み切った。12月補正を検討する10月末頃には、このような話は出ていなかったが、1,000台の導入が決定したため、更に台数を増やすとともに、大容量の高速無線LANの導入に向けて進めていく。予算は、1校あたり約3千万円、23校で約6億9千万円かかる見込みだが、国の有利な補助が用意されているので、活用し進めていきたい。皆様に御理解いただいているので、今後順調に推移し、他市より一歩先に進められると思う。

3 懇談会の概要

市民

 多くの予算をかけ、パソコンの導入やICT教育に力を入れるとのことだが、現在、一般的に子どもの読解力が落ちていると言われている。新座市については、どのように教育していこうと考えているか伺いたい。

教育長

 2018年に、新井紀子氏が「教科書が読めない子どもたち」という本を出版し、ベストセラーになったが、現在、私たちが考えている以上に、子どもたちの文章を読み取る力が低下しているのではないかと言われており、読解のためのスキルを確立することについて、校長とも検討している。そのためには、国語を中心とした言語教育を確立する必要がある。社会や算数においても、書かれていることを読み取ることが大前提になる。読解力は国語だけではつけられず、他の教科と横断的に力をつけていくことが必要である。4月から新しい指導要領による教育が実施されるが、カリキュラムの作成に当たっては、横断的に、どの場面でどのように読解力をつけていくかを意識しながら教育課程を組んでいく。

学校教育部副部長兼教育支援課長

 本市においても、読解力については一つの課題と捉えている。具体的には、調査問題を行う中で、新座市の子どもたちは無回答の割合がやや高いというデータも出ている。先ほど話に上がった新井紀子氏は、リーディングスキルテストを行っている。言語力を測る調査もあり、今年度中学校1校でモニター実施をしたが、導入について検討を進めているところである。また、第六中学校では、学校独自でリーディングスキルテストを作成し、読解力をつける取組を行っている。新座市としても、情報を吸い上げ、全体に共有できるよう取り組んでまいりたい。

教育委員

 ICTと聞くと、パソコンやタブレットを指で叩くというイメージがあるが、一方で、大学入試のセンター試験では長文を読む力、就職活動では小論文を書く力等、成長過程において、そのような力も相変わらず求められていく。従来、手を挙げた子どもしか参加できなかったような教育形態が、ICTにより、全員参加を可能にする等、大きな教育の転換をもたらすが、一方で、従来からの本を読む力や作文の力については、日本の長い教育の伝統があるため、パソコンやタブレットとは違う形で、並行して行っていかなければならないと考える。パソコンやタブレットで、読む力、書く力全てをカバーできるわけではない。大学では、90分の授業に対して、1時間の予習と2時間の復習があって初めて一単位となる。学校でタブレットを触っている時間だけで全てが完結するのではなく、図書館で読書をしたり、家庭で日記を書いたりする等、トータルに大事なことは変わらない。今までのマイナスだった面をかなりICTがカバーできるが、全てをカバーするという錯覚をする方がいるがそうではない。今後も、紙ベースの本がなくなることはなく、日本の伝統である読む力、書く力の良いところは残していく必要がある。ICTは万能ではないため、他のものもコンビネーションとして、総合的に、より学力を上げていく必要がある。今後教員の力量が問われてくると思われる。

教育長 

 指導にあたる教員が、読解力をつけるためにどのような方策を取るか、学校を上げて戦略を立て、1時間の授業の中で、どこでどのような力をつけるかについて、教員が明確に認識することが最も重要である。読解力について特に問題視されていることは、小学校に上がってきた1年生が極めて語彙力が乏しいということである。様々な人と接触し、コミュニケーションを取る経験が少なく、世界が狭くなっていることの一つの現れではないかと思う。文部科学省は、就学前の子どもたちに語彙力をつけるための環境を、いかに豊かにしていくかについて考えている。幼少期からお母さんが本の読み聞かせをする等、小中学生が読書に親しむ環境を作っていくことが非常に大切である。学校の図書室には、図書整理員を配置しているが、子どもたちが図書室に行く時間を作り、言語環境を豊かにしていくことが重要である。

市民

 ⑴ 映像の中で、「タブレットがないと、自分で全部考えなくてはいけないが、タブレットがあると、自分で考えなくても問題解決ができる」というような発言があった。新座市では、小学校1年生から英語教育を行う等、力を入れており、パソコンを使用する教育や、英語教育も必要だと思うが、心配な面もある。画像は動くものがすぐに目に入ってくるので、子どもたちはタブレットの学習を楽しんで行えるというプラスの面もあるが、自分で字を読み、映像がない場所において、見えないものを想像する力が衰えてくるのではないか、実際そうなっているのではないかと感じている。ICT教育に力を入れるのと同時に、読解力が衰えないよう、字を読むことに力を入れることを、前面に押し出していかないと、楽しい授業優先で、字を読むことをより避けてしまうという懸念がある。

 ⑵ 小学校から中学校に上がると、教育方法やテストの方法等が変わるが、そのギャップが大きいと感じる。小学校では出来ていたのに、中学校では出来なくなったと、子ども自身も保護者も感じることが多いので、小学校と中学校での連携があったら良いと感じる。

教育長

 小学校から中学校に上がり、具体的に感じたギャップはあるか。

市民

 例えば、成績のつけ方について、小学校では3段階評価の「よくできる、できる、がんばろう」のうち、「がんばろう」がなければ出来ていると思っていたところ、中学校に上がると、学期末試験の結果で評価され、5段階評価のうち「3」や「2」になるとあまり出来ていないと感じるようになる。

教育長

 中学校に上がると、より細かな段階になる。受験との兼ね合いもあり、高校受験のための内申点を5段階で記載するため、5段階評価をしていき、内申において正確に記入する必要があるということもある。その他にも、様々なところにおいてのずれはあると思う。

学校教育部副部長兼教育支援課長

 新座市では、各中学校区において、小学校と中学校で連携を図りながら、円滑な接続ができるよう取組を行っている。ただし、あくまで指導方法等の統一であって、子どもたちがどのように受け止めるかというところまでは少し考えが及んでいなかった部分があると思われる。中学校や高校に上がると、学習内容が多くなる。小学校では「よくできる、できる、がんばろう」の3段階評価だが、中学校は5段階の評定となる。おそらく、学校において、このくらいの点を取ると、このくらいの評定になるとの説明をしていると思う。テスト以外にも、評価の材料を各教科で集めながら出していると思う。頂いた意見については、説明責任という形で働き掛けていきたい。成績のつけ方について、中学校において、保護者に上手く伝わっていなかった部分があったと捉え、学校にも働き掛けていく。

教育長

 教育に関する非常に根本的な問題だと思う。日本は戦後、「6・3・3制」で来ており、義務教育における「6・3制」の分け方が、現在の世の中に合っているのかという問題と関連していると思う。小学校は、比較的自由で、成績のつけ方も大きく「理解できた、できていない」という区分けをするが、中学校では「できた」の中でも、「大変よくできている、まあできている」等と、5段階の評価に分けている。評価の区分は上級学校のあり方とも関連するため難しいところもあるが、小学校と中学校のあり方において、様々な違いが出ている。現在、小学校と中学校を1つにする、義務教育学校が全国各地に作られている。義務教育学校は、小学校1年生から中学校3年生までが通う場所である。まもなく戸田市に誕生する小中一貫校は、義務教育学校ではないが、小学校及び中学校それぞれに校長がおり、同じ校舎に設置されるものである。今後、新座市においても情報交換をしながら、大きく違う部分については、是正を進めていく。この問題は、新座市だけでなく、全国的な課題である。今後、校長会でも取り上げ、是正していきたい。

市民

 ⑴ ICT教育の導入により、教員の業務が増えるが、現在、教員が不足している中、ICT教育の方法を覚えていくのは大変なことと思う。35人の児童に対し教員1人でも足りていないと感じていたが、今後更に業務が増えるため、内容に関する断捨離、教員の増員、特に技術的な面での人員確保等を考えているか伺いたい。

 ⑵ この改革を、多くの保護者に知ってほしいと考えている。八石小学校では、校長の了承を得て、3学期の広報で、来年度から新しい教育指導要領による教育が始まることについて、掲載したいと考えているが、新座市として、保護者向けの周知がないように思われ、知らない保護者が多い。4月頃に、保護者向けのパンフレット等を配布する予定があるか伺いたい。

教育長

 ⑴ 今後、一番重要なことは、教員の意識が変わり、授業が変わっていくことである。教育は不易と流行があり、変わらない部分もあるが、時代と共に変わっていかなくてはいけない部分もある。ICTは、まさにその変わっていくべき部分であるが、教育の果たす役割は昔から変わらない部分がある。知識や技能を習得させるという意味においては、教員が黒板で説明するということがなくなるわけではなく、比重として減っていくが、子どもたちに正確な知識を理解させることは大事な教育の役割である。教員の意識を少しずつ変えていくことが重要である。人員については、現在、校務システムの導入により、通知表等もプリントアウトして一括管理している。校務システムの導入時は非常に大変だったが、慣れてくると働き方改革に非常に貢献している。ただ、システムの導入時には、学校に、専門的な知識を持った方を配置し、教員にレクチャーするという環境は作っていかなければならない。現在、コンピュータ業務補佐員を配置しているが、人数が少ない状況である。国から、4校に1人配置する補助金が出されるということなので、今後検討し、増員する方向ですすめていきたい。

 ⑵ 教育指導要領が変わることについては、今後保護者向けに作成していきたいと考えている。なお、1月に、市内小中学校の全教員向けに、これから教育が変わっていくため、意識を変えていく必要がある旨のメッセージを送信したところである。

学校教育部副部長兼教育支援課長

 今年度の7月頃、文部科学省作成の、学習指導要領が変更される旨のリーフレットを、各学校を通じて保護者宛に配布したので、御確認いただきたい。同様のリーフレットが文部科学省のホームページにも掲載されている。

教育長

 今後、市の教育委員会としても周知していく。

教育委員

 大学は義務教育ではないため、様々な授業の方法があるが、ここ10年程のパワーポイントの普及により、板書よりも、教員が作成したパワーポイントをスライドで見せ、プリントアウトして学生に配布するという授業も増えた。それに対し、綺麗なパワーポイントを作成していれば、良い授業をしているというわけではないという反省点も出てきている。学生が板書を書き取っていた時代には、自分で考えながらノートを取り、分からない字を後で調べる等、良い面もあった。ICTにも良い面と悪い面がある。初めから完成されたものから始まるということはないと思うが、小中学校の教員も、試行錯誤し、研究会や研修等を行いながら努力していくと思うので、教育委員としても支援していきたい。改革等、一歩踏み出す時には、心配な面も出てくる。大学ではパソコンを使う授業から、一部昔の授業方法に戻りつつある。そうでないと、学生の書く力をつけていくことが出来ないためである。今後、新座市の教育委員会においても、研究授業等を計画していると思うので、教育委員としてもサポートしていきたい。

教育長

 昨年10月、ICT教育で文部科学大臣賞を受賞した滋賀県草津市に、教育委員と視察してきた。授業の中では、手を挙げた子どもの回答だけでなく、全員の回答が瞬時に表示され、全員参加型の授業が展開されていると感じた。

 また、千代田区立麹町中学校においては、数学の授業で「COMPASS(コンパス)」という、その子どもに合ったレベルで出題されるシステムを使用していた。子どもたちの能力に差があるため、ここから出題すれば理解ができるはずだという、様々なデータをAIが管理し、個別最適化された出題や解き方が出てくる。授業においては、全ての子どもたちが目を輝かせて学習をしていた。例えば、一次方程式の授業を15時間かけて一単元を終わらせるところ、10~12時間程で全員理解できた場合、余った時間を様々な問題のディスカッションを行う時間に充てているとのことであった。子どもたちの能力に見合ったゴールを設定し、全ての子どもたちに力をつけることが可能になりつつある。これまでも特別支援学級では、一人ひとりの障がいの状態が異なるため、その子どもに合ったプログラムを作成してきたが、普通学級においては、学年ごとの教育課程を作成してきた。普通学級においても、一人ひとりに合ったプログラムの体制づくりをしようとすると、教師1人の力では到底できないため、現在AIを活用して実現させる事例がいくつも出てきている。子どもたちが学習に取り組む姿勢が全く異なっており、このような環境づくりは、今後必要になると感じる。

市民

 本来、答えは必要かという問題がある。イエスかノーかではなく、答えにならない答えもあるという選択肢を持つことが思考の第一歩になる。また、人は評価できるかという問題がある。学校での評価については、定期的に小学校、中学校で評価されるが、本来は教育が目指すところの、「学習のための学習、自ら学んで自らを教育していく」という、基本ベースに立った上で、文部科学省は教育方法を変えてきていると思う。

 ICT教育の問題については、技術教育の問題であって、どのような教え方をするかについてはICTであるが、本来はそこではなくて、人間が一生を生きていく上で必要なものは何かというベースがきちんとしていないと難しい。小学生から大学生までが、それぞれの時代の中で、どのような夢と希望を持てるか、時代をしっかり見据えていかないと、教育の本質は崩れていってしまうのではないかと思う。「学んで己の無学を知る」という、亀井勝一郎の言葉があるが、学ぶことで、何が必要か気付いていくことが重要である。学校は、昔は親方制度があり、親方が目標値だった。時代が変わり、学校は学びを教わるための基本ベースなので、絶対に必要である。その中で、どのような技術が必要で、どのような教育の基本ベースが必要かを、教員一人ひとりが考え、愛情を持ってぶつけていくことが必要であると思う。答えも評価も、その人が生きていくための思考の一パターンとして位置付けることができれば教育としては、大きな目標を達したことになる。今の小学生や中学生に聞くと、夢と希望がないということがある。目標は大きければ大きいほどよい。何をやってどのようなことをしていくか、現実に見極めたうえで、一歩一歩、教育を進めていく手掛かりを教員に作っていただけると、日本も豊かな教育ができるのではないか。この点について意見があれば伺いたい。

教育長

 ICTは、目標ではなくて手段である。ICTを使い、どのような力を子どもたちに育んでいくかが最も重要なことである。手段を目的化しないということは大事な見方である。今の子どもたちには、夢がないとは考えておらず、それぞれの子どもたちは夢を持っていると思っている。ただし、この先20年後どのような時代になるか読み切れない部分が、子どもたちが夢を作ることを難しくしていると思う。現在のまま、世の中が進んでいくということではなく、今後大きな変換点が出てくるかもしれない。将来電車の運転手になりたいという子どもがいたとしても、将来この職業がなくなってしまう可能性がある。

市民

 目標ということだが、私たちは望遠鏡、双眼鏡と顕微鏡の3種類の見方がしっかりできないと目標値がつかめない。様々な意見や考えがあってよいと思う。子どもたちが豊かに育っていくためのベースを作っていただきたい。子どもたちに好きな色を聞くと、赤、黄、青等の原色しか答えないが、虹色や透明等、様々な意見や考え方もある。子どもたちがしっかり考え出す力を育てていかなくてはならない。学校を卒業した後、学びの意識をもって、どのような感覚で社会に出ていくかがその人の財産になると考える。

教育長

 教育は、型にはめたがる部分がある。何色が好きか聞いた時に、大体は原色を答える子どもが多く、虹色や透明と答える子どもは少ないが、そのような多様性を認めていく必要性はある。学校の決まりについても、その決まりが合理性を持っているかどうか吟味することについては疑問がある。現在は撤廃されたと思うが、中学校において、ワイシャツの第一ボタンを留めなければいけないというルールがあった。我々もクールビズで、夏にネクタイを外した際は、第一ボタンを外す。学校において、硬直した考えに覆われていることが多くある。そのようなことを一つずつ紐解いていかなければいけない。そのような声が、子どもたちから出てきたら良いと思う。中学校においては、以前、靴は白色でなければいけないという決まりがあった。硬直化しており、保護者も子どもたちも思い込んでいるため、その決まりに従うが、立ち止まって考える必要がある。校長会で、色のついた靴を履いて行き、何か問題があるかと投げかけ、今は様々な色の靴が下駄箱に並んでいる。多様性について、柔軟に考え、様々な方面から物事を見ていく必要がある。順序立てたり、比較したり、関連付ける等の思考のスキルを子どもたちに身につけさせていく必要がある。柔軟な思考や見方をし、子どもたちがいかに快適に学校生活を送れるかが原点である。

教育委員

 子どもたちが目標や夢を持って、自分の生き方を実現するため、私たち大人は援助していく立場にある。最終的には、人格形成等の学校教育の大きな目標もあり、学校として、学校教育に求められている力を子どもたちにつけていかなくてはいけない。認知的な能力である、IQで測れるような力は、塾でもつけることができる。現在、非認知能力であるIQでは測れない、意欲、協調性や粘り強さが非常に重要だと言われており、学校が果たす役割は非常に大きいと感じている。小学校、中学校、高校、大学において、それぞれの年代の発達段階に応じた教育内容が準備されており、少しでも子どもたちに効率よく身につけてもらうため、教員が取り組んでいる。その際、欠かせないことは、子どもたちが社会に出た時に、その子どもが自立していけるようにしなくてはならないということである。このため、今の社会が求めていることを全く無視する訳にはいかない。いくらずっとこの教育方法だと言っても、社会がそれを求めていたら、適用する力をつけていかなくてはならない、という現実があるため、教育者は悩みながら、子どもたちに教育をしているのではと思う。以前は、You Tuberという言葉をあまり知らなかったが、何年か前から、小学生の将来なりたい職業の一つに、You Tuberが入って来ている。テレビのクイズ番組において、10人のYou Tuberの名前を答える問題が出題されていたが、自身は1人も回答できないところ、子どもたちは回答できていた。子どもの将来の目標なのであれば、簡単に否定することはできないし、時代に即したものも身に着けていかなくてはいけないと考えている。ICT教育は、現代の社会を生き抜いていくために、あくまで目的ではなく、手段として必要である。読解力や非認知能力と言われる、人を思いやる気持ち等も育てていく必要があるので、社会、家庭、学校においてすすめていく必要がある。社会が変化しても、子どもの目標や希望等、本質的なものは変わらずにあるので、子どもたちに夢や希望を持つように働きかけ、そのような環境づくりをすることが必要である。そのためには、小さな目標を積み重ね、実現することにより、喜びややりがいを見つけながら、自分の将来に向かっていくということが、今も昔も変わらずに重要なことだと考える。

教育委員

 私たちの年代ではICT教育について理解できない部分もあるが、ここ最近、この問題に接することが多い。新しい教育指導要領による教育が始まることで、素晴らしいという思いもあれば、機械に頼った教育で良いのかという不安もある。これから始まる事業なので、様々なことが起きると思われる。

 先日、成人式が行われ、20歳の主張において、代表の女性が「夢と希望を持って実現するため、創造力を活かしていきたい」という内容の発言をしていた。夢と希望という言葉だけでなく、自分たちの年代の持つ創造力を活かすという言葉が含まれており、今後の時代を担う若者がそのような気持ちを持っていてくれれば大丈夫かと感動を覚えた。子どもたちのこれからの教育に、彼らが関わることで、個々を生かす教育が出来ていくのではと感じた。

教育長

 今年の成人式のテーマは「変革」だった。成人式実行委員会30人が集まり、このテーマに決定した。彼らはこれからの時代が大きく変化していくであろうことを感じ取っていた。今年の成人式は非常に落ち着いており、整然としていた。

市民

 ⑴ 学習指導要領が変わることは、2020年の大きな目玉でもあり、経済産業省も、エデュケーショナルネットワーク等ICTを活用し、子どもたちの深い学びをすすめるとともに、教員の負荷を減らしていくことを目指している。ICT教育を取り入れ、具体的にどのように活用していくか、プランを伺いたい。先日、戸田市立第二小学校で「学校ICT活用フォーラム」が開催されたが、戸田市は、使用するソフトや教員の育成をどう行っていくか等について検討してきて、今がある。戸田市の教育長も「ICTを文鎮にしてはいけない。教室にパソコンがあっても、ほとんど使わないということになってはいけない」と言っており、ICTをどう使うかが極めて重要である。

 ⑵ 教員は多忙なため、ICTの良い道具を揃え、良いカリキュラムを作成しても、研修に行く時間がなかったり、慢性的な欠員だったり等、教員の時間を作るためには、仕事の断捨離が必要である。文部科学省は新たな学習指導要領を「3つの柱」として、従来の「知識及び技能」に加え、「思考力、判断力、表現力など」、「学びに向かう力、人間性など」としている。学習内容を減らさずに、アクティブラーニング、主体的、対話的、深い学びで人間力を高め、メタ認知も行うとのことである。その一方で、働き方改革により、早く帰るよう言われるが無理だと思う。このため、仕事を減らすため、一つは学習指導要領について、ある程度ポイントを絞って行うことが必要であり、もう一つは、学校の生活指導や、大会における一糸乱れぬ入場行進等に手間をかけるのであれば、教育内容そのものに力をかけることが必要である。何が大事か考えた時に、子どもたちが未来に向かって学び、力をつけて良かったと思える人生を歩むことだと考える。一糸乱れぬ行進や、校則による頭髪のチェックが教員の負荷になっているのであれば、校則を廃止すればよい。千代田区立麹町中学校は校則を廃止している。生徒の自主性に任せており、教員は指導を行うことよりも、新しい道具を活用し生徒自身が自ら考えることに力を注ぎたいと考えている。保護者も一緒に考えていかなくてはいけない。受験に問題がないかという話もあるが、受験勉強よりも大事なことがあるということを皆が考え、地域社会も学校も生徒も含めて考えていくような、コミュニティスクールを拡大していくとよいのではないか。麹町中学校は、以前はコミュニティスクールの会議に教員と保護者のみが出席していたが、今年から、生徒も15人程参加し、生徒が問題点等を提案する等、非常に和気あいあいと行っていた。学校と保護者が向き合い、一方的に要求するが、なかなか変わらないということがあるが、生徒は最も利益を受ける人間なため、意見に真摯に耳を傾ける取組が大事である。学校において、何が大事かを考えていく必要がある。

教育長

 働き方改革は、一つひとつのことを考え直すことが必要である。東京都においては、運動会や体育祭を午前中で終了する学校が増えてきている。行事についても見直す時代が来ている。今後、教育委員会もリーダーシップをとってすすめていきたい。校則の問題について、麹町中学校の校則の撤廃は、理想ではあるが、居住地域等の条件もあるのでなかなか難しい。考え方としては、賛同出来るところも随分ある。麹町中学校では、自動採点機を導入しており、答案用紙をスキャナーで取り込み、教員がチェックする箇所だけ、機械で色が示されるようになっている。新座市においても、今後導入予定で進めている。合理的に処理できるものは、合理的に処理していくという考えが必要である。また、学級についても、学級担任を廃止する学校も増えている。学級という集団を前面に打ち出し、一つの括りを作るという考え方は、これまでは非常に上手く機能してきたが、様々な問題が出てきており、不登校の小中学生が14万人を超えている現状である。集団という考え方について、どうなのかという問いが出てきている。クラスで団結する等ではなく、考え方を柔軟にしていく方法もあるかと思う。

市民

 学校だけでの判断は難しい。保護者が古い因習を求めるという部分もある。

教育長

 コミュニティスクール、学校運営協議会の機能を上手く果たし、地域と保護者と理解しながら、学校が変わっていく方向になると良い。

市民

 ICT教育を取り入れ、具体的にどのように活用していくか、プランを伺いたい。

教育長

 現在、コンピュータールームに40台のパソコンを配置しており、今年度予算で、各中学校に10台のタブレットを配置した。12月補正で、1,000台の導入が決定したが、一人一台環境の実現には、まだ数年かかる見込みである。今後、3クラスに1クラス分、つまり3人に1台分は市で整備し、一人一台に至るまでの残りの部分については、国が補助金として出すとのことである。割と早い時期に一人一台環境が整えられるのではと考えている。また、教員の研修については、企業と連携して実施していく予定となっている。

市民

 機器も必要であるが、機器をどのように使用していくかについてのプログラムが必要である。教員や保護者を含め、ICTが必要だという意識を高めていかなくては、結局文鎮になってしまう可能性が高い。どう生かしていくのか、見本の市を参考にしていく必要がある。昨年8月に「未来の教室(キャラバン)」を実施したが、経済産業省は、皆でという動きを作ってほしいとのことであったが、上手く使えていない。ICTについても、市議会の理解を深めていく必要がある。分かりやすく皆で共有しながら進めていかなくてはいけない。

教育長

 議会については、補正予算についても理解いただき可決されたところである。

市民

 機械の使用もよいが、子どもたちの想像力を育てることを、学科関係なく行ってほしい。子どもたちの読解力が低下しているとのことだが、普段の生活においても、読んだり、聞いたり等コミュニケーションが取れるよう、プログラミング教育にプラスして行ってほしい。今後プログラミング教育が実施され、小学生もスマートフォンを使用したがるのではと思う。中学生でも、隠れて学校に持参しているということがあると思うが、小学生についても対象として考えてほしい。

 また、本や新聞を読んだ後は、一行でも二行でも良いので感想文を書かせるようなことを、授業において、学科に関係なく取り入れてほしい。先日、第五中学校に学校評価で伺ったが、現在若い教員も増えているが、よく考えて動き、反省している教員もいる。学校とPTAで、よくコミュニケーションを取っていくとよい。

教育長

 ジグソーパズル的思考とレゴ的思考と比較した人がいた。ジグソーパズルは、一つの絵が作成できるが、それ以上のものにはならない。それに対し、レゴは様々なものを作ることができる。子どもたちにとって、レゴ的思考は必要な思考であり、今後様々なものを展開していくような想像力をつけていくことが必要である。スマートフォンの所持率は、新座市においても非常に高く、中学生の所持率は70%を超えている。小学生の所持率も高い。様々なインターネットのサイトがあるため、保護者もプロテクトをする等、注意していかないといけない。

市民

 保護者の協力という話が出たが、学校は地域のものであるということで、現在、第六中学区においては、石神小学校を含め、三丁目町内会で子どもの見守りや、青色パトロールを行っている。他の学校においてもこのような活動を徹底していくとよい。学校は地域のものであるため、様々な人が協力していくとよい。お年寄りが、子どもに昔遊びを教えたり、子どもの見守りをしたり等、活動を広げていきたい。

教育長 

 これまで、教員は地域に目を向けなくても、教育委員会や文部科学省に向いていればよしとされていた時代があった。明治5年8月に学制が出されたが、学校を設立する際、明治政府はお金を出しておらず、地域の方がお金を出し合い、学校を設立した。学校とは地域一体となって、作られたものである。原点に戻り、皆で学校を作ることがコミュニティスクールである。校長や教員だけで学校を作るのではなく、皆様の意見を学校運営に反映していただきたい。平成20年から様々な学校を調査し、野火止小学校においてコミュニティスクールを開始するまで5年かかった。現在では県で推し進めている制度である。コミュニティスクールを活かし、皆で学校を作っていくことが大切である。今後も協力をお願いしたい。

市民

 コミュニティスクールについて、教育委員会は学校教育法により動いているが、地域のパトロールや子どもの見守り等については、社会教育法の影響を受けて動いているため、制度の関係で、もっと接近できるような仕組みがあるとよい。将来を見据えた時に、両者に溝が生じないよう両者が緩和できると、豊かな地域になると思う。学校と地域がともに成長できるとよい。

教育長

 地域の見守り活動をしている方等に、学校運営協議会に参加していただき、今後の連携について協議していただきたい。

市民

 先日、新座市民会館で「ヤング・アメリカンズ」が開催され、小学生から高校生まで、約160人が参加し、新座市からは33人が参加していた。大変良いプログラムであった。

教育長

 アメリカの青年が日本の家庭にホームステイし、子どもたちが英語によるイベントを行ったものである。

市民

 子どもの自立を目的としており、大学生が子ども一人ひとりをサポートしていた。日本人は内に籠りがちだが、アメリカ人と接することで心を開き、初日の状態から大きな伸びしろがあり、子どもの可能性に感動した。

教育長

 不登校だった児童が、「ヤング・アメリカンズ」で自信をつけ、表情も変わっていた。日本人は欧米に比較して、自尊感情が低く、自信を与えることがとても大切である。

市民

 学校教育が叱る教育だからである。子どもの良くないところを指摘するのではなく、褒めていくことが大切である。

4 教育委員の感想

教育委員

 本日、ICT教育についての保護者の意見を初めて伺った。これだけ保護者の皆様が意識をお持ちということは、教員にも伝わっていくと思う。先日、学校訪問で、石神小学校と第六中学校を訪問したが、校内が非常に綺麗であった。石神小学校の図書室には、子どもたちが読書をするスペースが設けられていたが、学校応援団の方が作ってくださったスペースとのことだった。教員を初め、一生懸命学校づくりをしているところだが、地域の方や保護者の力が非常に大切だと感じた。

教育委員

 本日NHKに出演し、埼玉について話をするため御覧いただきたい。

5 委員あいさつ

 大変お忙しい中御参加いただき、感謝申し上げる。本日は、教育の本質に関わる質問や意見が出され、教育する側の責任と想いを再確認する機会とさせていただいた。ICT教育を進めながらも、読解力や想像力等、様々な求められる力を子どもたちにしっかりつけていけるような学校教育を進めていく必要がある。保護者や地域の方が、熱心に温かく教育を支えてくださっていることを感じた。今後も協力をお願いしたい。本日皆様から頂いた御意見等を教育行政に活かしていきたい。