にいざ見聞録(第5回 馬場の氷川神社)
関越自動車道新座料金所の北側にある馬場(ばば)の氷川神社(ひかわじんじゃ)は、往昔(おうせき)のたたずまいを残している古い神社です。
江戸時代には、旧片山五ヶ村(辻村(つじむら)・原が谷戸村(はらがやとむら)・堀之内村(ほりのうちむら)・中沢村(なかざわむら)・下中沢村(しもなかざわむら))の土産神(うぶすながみ)として信仰を集めてきました。
今から170年前に書かれた『新編武蔵風土記(しんぺんむさしふどき)』には、
氷川社(ひかわしゃ) 村の西の台 野火留(のびとめ)の境にあり 大門(だいもん)のあいだ一町(ちょう)半ばかり
そのうち半町ほど奥に鳥居たつ 本殿は一間(けん)に九尺の宮作りにて上屋(うわや)は二間に三間あり 前に拝殿をたつ
この鎮座(ちんざ)の年代は詳(つまび)らかならざれども古き勧請(かんじょう)なりと云(いう)
大門の両脇をはじめ社(やしろ)の三面に松杉の老樹櫛比(ろうじゅしっぴ)して寂々(じゃくじゃく)たり…
とあり、氷川神社の周囲は欝蒼(うっそう)としげる古木に包まれていたことがうかがえます。
近年の開発により、その情景は変わりつつありますが、本殿左脇にはそのころの名残として、樹齢700年という老杉の切り株が、いまも大切に祀られています。
案内図
- 馬場氷川神社 (新座市馬場4-10-25)