にいざ見聞録(第20回 日光杉並木と松平正綱)
印刷用ページを表示する 掲載日:2012年11月1日更新
大名行列の、のどかな時代のシンボルである日光杉並木は、その数およそ1万5千本、約40キロメートルにも及びます。
この街道沿いの杉並木は、徳川家康・秀忠・家光と三代にわたって徳川将軍家に仕えた重臣、松平右衛門太夫正綱(松平伊豆守信網の養父)が、日光道中・日光例幣使街道(れいへいしかいどう)・会津西街道の三筋に、約20年の歳月をかけて杉の苗を植林したものです。
正綱は当時、相模国甘縄(鎌倉市大船)城主であり、忠誠の証として慶安元年(1648年)4月、家康33回忌に東照宮への参道並木としてこれを寄進しました。他の大名のように金品のはるものにせず、杉の苗木を寄進したのです。現在、この3街道から今市に集まったうえで日光へと伸びる杉並木は、国の天然記念物に指定されています。
350年後の今日、空を覆う老杉の荘厳なうつくしさを目のあたりにして、正綱の広大な理想と先見性を窺(うかが)い知ることができます。
日光への旅人を導く、この貴重な文化遺産を残した松平正綱は、今静かに名刹(めいさつ)平林寺の松平家廟所(びょうしょ)に眠っています。
案内図
栃木県日光市内
新座市野火止三丁目1番 平林寺境内